出版社内容情報
「私は、大声を出すことにうんざりしていたのだ。声をはりあげ、だれかを振り向かせ、耳心地のいいことを、一方的に上から目線で押し付ける広告の手法に、私は限界を感じ、辟易していた。だから私はツイッターで、真逆のことをやろうとした。」(「まえがき」より)
ツイッターの数ある企業公式アカウントの中でも最大級の人気を誇る「シャープさん」が、漫画SNSサイト「コミチ」で続けている漫画時評連載を集めました。時に「表現することとは」を語り、時に「社会のつらさ」を語り、時に「人間関係の難しさ」を語るシャープさんの優しい筆致で、大勢の読者を癒しています。そんな人気連載が一冊にまとまりました。
夜中にスマホでこのサイトを眺めている「あなた」へ、シャープさんが「できることはすくないけれど…」と綴ったエールです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
陸抗
25
気持ちが落ち込んで辛いとき、本の中からエールを送られる事がある。今回もイヤな事があってむしゃくしゃしてたけど、読み終わる頃には落ち着いてたから不思議。それは、本だけじゃなく周りの人達が親身になって話を聞いてくれたからだけど、その中にそっと、紛れ込んで一緒に話を聞いてくれたような安心感があった。誰も味方が居ないと嘆く人にも、そっと寄り添ってくれる本だと思う。2023/09/26
JACK
17
◯ 漫画家の創作を支援する「コミチ」というサイトで、シャープのX公式アカウントの中の人が書いたコラムの書籍。しんどいことをテーマにした文章と、関連するマンガをまとめています。世の中には罵倒の言葉は多いが称賛の語彙は少ないという話、就職の面接で落とされ続け、他人のことは分からないけど自分の22年間を分かって欲しかったのだと気付いた話、マンガを描いてバズって評価されても謙遜するふりをして逃げていた事に気付いた話、共用教室の机の落書きで見ず知らずの先輩とやり取りした話が好みでした。気軽に読める本です。2024/07/26
ナオキッス
16
タイトルが違っていれば、もっと広く話題になったかもしれない本。でも読み終わる頃には、タイトルの必然性(企業名すらも)がわかる本。書かれているのは、一言で言えばネット上で出会った漫画とそれに対する書評・コラム。ただ、漫画は数コマで感動するし、漫画前のコラムと漫画後の書評はただただ胸に優しい。ロザン宇治原氏の解説も秀逸。たしかに『誰かの少し「しんどい」ことに、誰もが少しずつ共感するコラム』である。ずっと読みたい本だったけど、読めてよかった本。2024/12/16
ochatomo
9
図書館で手に取る 初出「コミチ」連載 SNSで漫画だけは読まれるのだそうだ 広告せずに広告は可能か、家電の話は少し出るけどテーマは人生もしくは世間と生活 「やさしい家電」https://magazine.comici.jp/episodes/7eab890c2a3f3/ コラムを著者は日記と評し、漫画作者と読者を応援する 『作品とは、広く共感を得るために、多くの人に伝わるものをあらかじめ描くのではない』『かかる魚の数を狙うものでなく、モリで1匹と対峙するように生み出されるものでないのか』 2023刊2024/05/19
ごま麦茶
6
シャープ公式Twitter(X)運営者さんのコラムをまとめたもの。コミチというサイトで公開されている漫画を絡めての言葉たち。好きなものや推しについてのもの、生きづらさについてもの。いろんなお話があり、共感できるものが多かったです。『好きな物は出会い頭に訪れるのだ。まるで事故のように』とか。優しい気持ちになれました。2023/10/13