出版社内容情報
殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。
浪人中の里英は、父と共に、叔父が所有していた枝内島を訪れた。
島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。
島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。
“この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。
犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。
週刊文春ミステリーベスト10(「週刊文春」2022年12月8日号)国内部門&MRC大賞2022など4冠に輝き、ミステリ界を震撼させた『方舟』夕木春央、待望の最新作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
794
数日前に読み終わっていたが、パラパラと気になる箇所を再確認してからのレビュー。地の文でアンフェアなのではないかと思っていたところも、見返してみると絶妙にかわしている。『方舟』の二匹目のどじょうを狙っただけのようで、実は趣向を変えており、二度読必至本に仕上げているというのはなんとなくわかったけれども、QRコードのネタバレ解説に書かれていることには気づかなかった。それを理解した後では、さらにまた作品への印象が変わる。本当に芸が細かい作家さんで感心してしまう。第三弾もあるのか?2023/08/30
パトラッシュ
648
『方舟』で強烈なインパクトを与えた著者だけに、期待と不安に満ちて読んだ。前作を上回る衝撃がもたらされるか、逆に滑ってしまうのではと。犯人探しが禁止された状況下でのサスペンスは申し分ないが、最初の1人を殺して爆弾の起動装置を奪ったのなら、さらに2人も殺した上に「十戒」を強要する必然性が薄いのだ。もっと異常なドラマをとの期待に応えようと、考えすぎてしまったのか。しかし何よりの驚愕は、最終頁のセリフが『方舟』と同じだったこと。つまり彼女はあの人だったとは、物語全体よりも強烈な「なぜ」に呆然とするのは保証できる。2023/09/05
starbro
644
夕木 春央、3作目です。シリーズ2作目、「方舟」は山、本書は孤島と対照的ですが、個人的には本書の方が面白かったです。但し、途中で犯人が判ったのと、今回も動機が弱い気がします。「方舟」⇒「十戒」と来たら、次は「聖蹟」辺りでしょうか❓ https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003796272023/09/26
青乃108号
595
十戒と言われる犯人からの「~すべからず」という戒めに、登場人物同様に読んでる俺もかなり強いストレスを感じながらの読書となり、辛かった。解決編を読んでも、それってアンフェアじゃないか、とまたまたストレスを感じた。2度読みすればそのあたりは巧妙にかわして書いてあるらしいが、初読で満足出来ない物語は俺は好きではない。「方舟」は絶賛したけれど今回のこの作品には大いに不満が残った。仕込まれたネタが凄いらしいが俺にとってはどうでも良い問題だ。2023/10/10
bunmei
545
『方舟』は、廃墟の地下研究施設での密室サバイバルだったが、本作は無人島で起こる連続殺人事件を描いたミステリー。そこに、島で発見された爆薬の爆破予告も絡んで、よりサスペンス要素を盛り上げている。本作もミスリードから、ラスト50ページの二転三転する先の読めない展開に読者を呑み込み、サプライズな真相が解き明かされていく。但し、犯人の動機が弱く、消化不良だったのは否めなかった。島を訪れた9人の内、3人が殺され、互いに疑心暗鬼になる中で、1人の女性が、鋭い推理で犯人を解き明かし始めるのだが、真相は意外な方向に…。2023/09/03