出版社内容情報
1939年、旧満州国・モンゴル国境地帯で、ソ連軍と日本軍(関東軍)が衝突したノモンハン事件。4ヵ月にわたる激戦にもかかわらず、実態が不明だったこの「事件」の全貌を、近代史・軍事史の第一人者が描き出し、第68回毎日出版文化賞を受賞した決定版。講談社学術文庫版では、2020年の新書大賞を受賞した『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)の著者、大木毅氏が巻末に解説を執筆。
かつて、ノモンハン事件は「人的損害で日本軍はソ蒙軍の2倍」「日本軍の惨敗」という説が定着していた。ところが、1990年代から公開され始めた旧ソ連軍資料を精査した著者によれば、戦死者は日ソ両軍とも1万人前後だが、死傷者総計では日本軍の約2万人に対してソ連軍は約2万5000人と上回っている。しかし、戦闘の勝敗は数字だけで決まるわけではない。では、この「奇妙な戦い」の結着は何だったのか。
「ノモンハン」は、日清・日露いらい連戦連勝だった日本陸軍にとって初めての敗北体験だった。そこでは、無断退却や抗命、大量な捕虜、事後処理をめぐる抗争など、想定外の現象が次々と起こった。しかし、上級指揮官は微温的処分ですんだのに対し、下士官兵や将校たちは軍法会議で処罰され、あるいは自決を強要された。こうした先例は、さらに無責任さと過酷さを増して大東亜戦争に引き継がれていくのである。〔原本:PHP研究所、2014年刊〕
目次
第一章 ノモンハン前史
第二章 第一次ノモンハン事件
第三章 ハルハ河畔の攻防
第四章 第二十三師団、壊滅す――ジューコフの「傑作」
第五章 ノモンハン事件の終結
第六章 ノモンハン航空戦
第七章 ノモンハン情報戦
第八章 統計分析と総括
第九章 ノモンハン戦敗北人事の決算――無断退却から自決強要まで
あとがき
学術文庫版あとがき
図表索引
主要事項索引
人名索引
解説 大木毅
内容説明
一九三九年、日本の関東軍とソ連軍が満蒙国境で衝突したノモンハン事件。四ヵ月に及ぶ激戦にもかかわらず謎に包まれていた戦闘の実態は、九〇年代に公開されたソ連側資料により、明らかになってきた。日本陸軍にとって初の「敗北体験」。欧州情勢をにらんだスターリンの外交。草原の局地戦は世界大戦の序曲だった。毎日出版文化賞受賞作。
目次
第1章 ノモンハン前史
第2章 第一次ノモンハン事件
第3章 ハルハ河畔の攻防
第4章 第二十三師団、壊滅す ジューコフの「傑作」
第5章 ノモンハン事件の終結
第6章 ノモンハン航空戦
第7章 ノモンハン情報戦
第8章 統計分析と総括
第9章 ノモンハン戦敗北人事の決算―無断退却から自決強要まで
著者等紹介
秦郁彦[ハタイクヒコ]
1932年、山口県生まれ。東京大学法学部卒業。官僚として大蔵省、防衛庁などに勤務の後、拓殖大学教授、千葉大学教授、日本大学教授などを歴任。専門は日本近現代史、軍事史。法学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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