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出版社内容情報
能力は遺伝するのか。そもそも「能力」とは何か。そして「遺伝」とは何だろうか。実はわからないことだらけの領域を第一人者が解説!
内容説明
「遺伝と能力」にまつわる誤解と迷信を科学で打破する。あなたと大谷翔平の遺伝子は99.9%まで同じだが、両者の圧倒的個人差には遺伝が大きく影響している。この一見、矛盾する事実をどう理解すればいいのか?「心や行動はすべて遺伝的」であるならば、環境や教育は「能力」を高めるうえで無意味なのか?長く偏見や悲劇すら生んできた「能力と遺伝」の闇を、最先端のゲノムサイエンスが真実の光で照らす!
目次
第1章 遺伝子が描く人間像(遺伝子のマジック;遺伝子は多様でランダム ほか)
第2章 才能は生まれつきか、努力か(心はすべて遺伝的である;「才能は生まれつきか、努力か」という問い ほか)
第3章 才能の行動遺伝学(「行動が遺伝的である」とはどういうことか;古典的な行動遺伝学 ほか)
第4章 遺伝子が暴かれる時代(ポリジェニック・スコアの進化;教育年数PGSが描く世界)
第5章 遺伝子と社会(遺伝的に正しい社会とは;遺伝子と人格)
著者等紹介
安藤寿康[アンドウジュコウ]
1958年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学文学部名誉教授。博士(教育学)。専門は教育心理学、行動遺伝学、進化教育学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
66
ちょっと難しかった〜😅さすがブルーバックス。著者は、教育心理学・行動遺伝学・進化教育学が専門、慶應義塾大学文学部名誉教授の安藤寿康先生。最新の「行動遺伝学」とその関連領域の知見をふまえて、能力に及ぼす遺伝の影響と、能力の獲得・成長に関わる文化的知識の学習過程も考慮しながら、その知見がもつ社会的・人間的な意味を緻密に考察した一冊。一卵性双生児と二卵性双生児の類似性比較では丁度倍の差が出るとのことで、大変興味深い分析内容でした。2024/09/03
樋口佳之
60
倫理の重要性を語り、カント、ロールズ、サンデルに言及し、スター・トレック的理想社会に言及する著者。精緻な議論をされていると思います。/ただ、能力が遺伝する、しないというお話は、親と子の関係において把握されるはずなのだけど、著者の研究は一卵性双生児と二卵性双生児の比較において、持っている遺伝子がどれ程の影響を持つのかを語るものでは。そこに議論の食い違いがあると思いました。別の本で言われた「遺伝は遺伝しない」が著者の立場だとして、この食い違いは悪用される危険があるし、現にされているのではと読みました。2023/08/20
おせきはん
42
能力は遺伝と環境のどちらの影響を受けるのか、行動遺伝学の研究成果をもとに論じられています。私が事前に想定していたよりも遺伝の影響が大きいと感じました。最低限のルールを守りながら、それぞれが自らの持ち味を生かしていける多様性に富む社会になればよいと、反省をこめて思いました。2023/08/27
かずぼう
41
遺伝本「言ってはいけない」を更に、研究データを元に根拠付けしている、そんな本。途中難解だが、第五章で著者の考え方が分かる、遺伝子改変して、優秀で完璧な人ばかりになったとして、多様性を失って何になるの?といったところか。2023/10/10
Roko
35
他の人からは努力のように見えても、それを続けている本人にとっては努力ではなく、単に好きだから続けているということがある。そういう本人にとっては「つらくない勤勉性」こそが才能なのだと思う。その才能が、自分が生きる社会でどういう位置付けか?が問題なのだという著者の意見には同意できる。ピアノをどんなに上手にひける人でも、ピアノがない世界へ行ったら才能は発揮できない。今自分がいる社会の中で自分の才能は評価されるモノなのか?ここでダメなら、評価される別の場所はあるのか?それが問題だ。2023/10/22