出版社内容情報
第17回小説現代長編新人賞受賞作!
ーー1秒が、あなたを変える。必要なのは「1粒の種」。
奇跡の花と不思議な青年をめぐる、再生の物語。
綿来千晶は、息子に手を上げた夫と離婚したばかりで鬱々とした日々を過ごしていた。彼女は、偶然入った霊園事務所で日置凪という青年に出会う。親しみやすく価値観の合う凪に、ぽつぽつと悩みを打ち明ける千晶。すると彼は「ひとつだけ、おとぎ話をさせてください。」と「うるうの朝顔」という不思議な朝顔の種を取り出した。
なんでもその花を咲かせると、現実とはほんの少しだけ変わった過去をもう一度体験でき、その瞬間から始まっていた心の「ズレ」が直るという。その夜、千晶には、姉が父に殴られた日の記憶がよみがえり……。
内容説明
夫と離婚し、強い停滞感を抱く千晶は、母の墓がある霊園で凪という青年と出会う。彼は「うるうの朝顔」という不思議な朝顔の種を取り出した。花を咲かせると「現実とは一秒だけ違う過去を再体験し、心の不調和が直る」種らしい。半信半疑のまま、千晶はメモの通りに花を咲かせるが―。
著者等紹介
水庭れん[ミズニワレン]
1995年生まれ。大阪府出身。早稲田大学文学部を卒業後、現在は出版社勤務。2022年、初めて執筆した小説『うるうの朝顔』で第17回小説現代長編新人賞を受賞した。2023年、同作でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
199
第17回小説現代長編新人賞を受賞してのデビュー作、王様のブランチのBOOKコーナーで紹介されたので読みました。水庭 れん、初読です。うるうの種を巡るファンタジー連作短編集、好い余韻の読後感でした。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003757592023/07/18
いつでも母さん
160
『人の死をどう捉えるかも人それぞれだ』第五章の結び近くこの言葉があった。いつまでも掴めそうで掴めない感情はズレなのか。私だけがそこから身動き取れずに雁字搦めになっていたのか‥ここまで生きて沢山のズレを抱いて、それでも淡々と今を生きるしかなくて‥だから『うるうの種』私も欲しい。ファンタジーなんだけれど、どきりとする思いもあって、連作5話どれも切なさを感じつつ読んだ。 第17回小説現代長編新人賞受賞作品。2023/07/08
シナモン
108
心のズレを正す不思議な力を持つ「うるうの朝顔」。それによって救われる人たち。こういう設定が好き。朝顔ってのが今の時季に合っていてさわやかだし素敵な発想だと思った。表紙の絵も好み。なんだけど、なんか読みづらくて思ったより読了まで時間がかかってしまった。全体的な雰囲気は好きなので今後の作品を読んでみたい。2023/08/02
のぶ
107
だれもが人には打ち明けられないような様々の悩みや苦しみを心に抱いて生きている。心の中に解決できないズレが残っているのです。各章で、悩みをもった登場人物に主人公は不思議な「うるうの朝顔」の種を与える。あの世とこの世をつなぐ一粒の朝顔の種が人の心のズレを矯正して悩みを解決してくれる不思議な物語。なんと、ファンタスティックな話でしょうか。心のズレは本人にしか分からないが、不思議な朝顔の種が癒してくれる。朝顔の開く姿がとても印象的だった。癒しの気持ちが込められた心温まる作品です。新人なので今後に期待。2023/06/23
美紀ちゃん
85
うるう→大きなズレを正すために作られた余り物。ズレを正す。それはモヤっとした時に誰もが必要とすることだと思う。私もうるうの種が欲しいと思った。「ボタンを掛け違える」という表現もズレてるからだよね。ズレを正すことは、勇気を出して一歩を踏み出すことだと思った。うるうの種を土に蒔いて、1秒の夢?画像?ヒントをもらい、(魔法の種みたい)一歩を踏み出す。ズレを正すのは、結局は自分自身だと思う。面倒くさいことかもしれないけど、そのズレに向き合って、考えて、ズレたらすぐに治したい。それができる人間になりたい。2023/07/09
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