出版社内容情報
『哲学者の密室』の“悲劇”再び
矢吹駆シリーズ最新作!
間違われた誘拐
連鎖する誘拐
前人未到、永久不滅の誘拐ミステリ
1978年の秋、矢吹駆とナディアは“三重密室事件”の記憶を持つダッソー家での晩餐会に招待され、アイヒマン裁判の傍聴記で知られるユダヤ人女性哲学者と議論する。
晩餐会の夜、運転手の娘・サラがダッソー家の一人娘・ソフィーと間違えて誘拐される。さらに運搬役に指名されたのはナディアだった。
同夜、カトリック系私立校の聖ジュヌヴィエーヴ学院で女性学院長の射殺体が発見された。
「誘拐」と「殺人」。混迷する二つの事件を繋ぐ驚愕の真実を矢吹駆が射抜く。
内容説明
1978年の秋、矢吹駆とナディアは“三重密室事件”の記憶を持つダッソー家での晩餐会に招待され、アイヒマン裁判の傍聴記で知られるユダヤ人女性哲学者と議論する。晩餐会の夜、運転手の娘・サラがダッソー家の一人娘・ソフィーと間違えて誘拐される。身代金の運搬役に指名されたのはナディアだった。同夜、カトリック系私立校の聖ジュヌヴィエーヴ学院で女性学院長の射殺体が発見された。「誘拐」と「殺人」。混迷する二つの事件を繋ぐ驚愕の真実を矢吹駆が射抜く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
26
矢吹駆シリーズ最新作は、タイトルからフランクル『夜と霧』を連想してしまうが、それは間違っていない。ヒトラー総統命令「夜と霧」を誘拐事件のイメージとして引用するのだが、今シリーズが本格ミステリであると同時に思想小説の側面も備えていることを考えると、事件はイメージだけでは終わらない。シリーズ第四作『哲学者の密室』の舞台であったダッソー家で再び事件が起こる今作は、であるからこそハイバッハ(マルティン・ハイデガーをモデルとする)を師とするカウフマン(ハンナ・アーレントがモデル)の登場を(つづく)2025/06/16
カケル
11
10年周期が2年半に縮まって嬉しくなる。「誘拐」という犯罪事象を人類史に重ね合わせる力業には唖然とする。ラストの論戦は凄かった。また前作から同時代(70年代)の時事ネタも多くなってニヤリとなる。2025/04/21
石
5
複雑怪奇な二重の誘拐殺人 次々と新しい事実が明らかになり、いくつもの推理を経てたどり着く真犯人は意外性抜群 推理小説の真髄を堪能した 終章の「唯一の被爆国」のくだりは考えさせられた2025/06/19
ムーミンママ
5
ミステリーなんだけれど哲学。。哲学が溢れている。終章は今 実際に起きていることなので勉強になった。どうして戦争になるのか?人種差別は根深い。。2025/06/24
りきやん
4
矢吹駆シリーズ第8弾はミステリとしてはタイトル通りの誘拐もの。哲学思考は戦時を主とした「夜と霧」にかかっているがこちらは説明できない…正直かなり複雑かつ難解ではあるが、これを読み飛ばしては現象学的本質直観を駆使した唯一無二の名探偵の活躍?を堪能できないので頑張りました。ミステリとしても良質で、文体のリズムがとても良いのを含め笠井潔健在だなと思う反面、真相に気付かざるを得ないほど微細な傍証を繰り返しすぎるのも相変わらず。現代世情により書き加えたかのような終盤の「論争」は深く良心に刺さりました。次作期待です。2025/05/20
-
- 和書
- あゝ楽しきかな我が人生