出版社内容情報
「子は怪力乱神を語らず」。孔子に代表される儒教の合理的精神のもと、早くに歴史の中に取り込まれ、断片的にしか伝わることがなかった中国神話。『山海経』や『楚辞』、甲骨資料などわずかに残された痕跡から、一つ目、一本足で猿面の山神を主人公に、古代中国史の泰斗が神話世界を大胆に復元する!
最古の地誌であり、儒学の厳しい検閲の網を逃れて現代にまで生き残った、さまざまな怪物が登場する『山海経』。そこには一本足で、声は雷のごとく、黄帝が生け捕りにして皮をはいで鼓をつくり、その骨をばちに打ち鳴らすと五百里四方にとどろいたという山の怪物が登場する。また別の個所では楽園の番人を殺して不死の木の実を盗んだ罪によって、足にかせをはめられ、両手と髪を縛って、ある山の木に逆さ吊りにされた怪物も現れる。このいずれもが「き」という音で呼ばれる、本書の主人公である。
司馬遷が『史記』で歴史のはじめにおいた黄帝と、その強敵である蚩尤はともに風雨、とりわけ風を呪術的に自在に操る力を持っていた。風の神は同時にふいごを使う鍛冶神にも通じ、そして「き」もまた、鍛冶と深いかかわりがあったという。
多くは猿面で一つ目、一本足で表象されるこの山神を出発点に、柳田國男や折口信夫の民俗学的手法や日本神話、時にはバビロニアのマルドゥク伝説からもヒントを得ながら、古代のはるか遠い祖先神をめぐるひとつの物語として中国の神話を大胆に復元し、さらにその後、儒教化によって神話が歴史へ、呪術が宗教へと変容するまでを描く。神話世界を冒険するかのようなスリリングな魅力に満ちた一冊。
(原本:『中国の神話――神々の誕生』筑摩書房、1971年)
第一章 異形の神像
第二章 瞽師の伝承――中国の語部
第三章 風の神の発見
第四章 鍛冶師と山の神
第五章 文化的英雄の誕生――三皇五帝
第六章 神話の世界の消失
第七章 乱――エピローグ
あとがき
解説 蜂屋邦夫
内容説明
「子、怪力乱神を語らず」。儒教の合理主義精神のもと、早くに歴史の中に取り込まれ、断片的にしか伝わることがなかった中国の神話。『山海経』や甲骨資料などわずかに残された手がかりを元に、日本の民俗学やマルドゥク伝説にも着想を得つつ、失われた神話世界を大胆に復元する。一つ目、一本足の山神が繰り広げるスリリングな冒険!
目次
第1章 異形の神像
第2章 瞽師の伝承―中国の語部
第3章 風の神の発見
第4章 鍛冶師と山の神
第5章 文化的英雄の誕生―三皇五帝
第6章 神話の世界の消失
第7章 乱―エピローグ
著者等紹介
貝塚茂樹[カイズカシゲキ]
1904‐87年。京都帝国大学文学部史学科卒業。京都大学名誉教授。文学博士(京都大学)。文化功労者。文化勲章受章。専門は、中国史学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
さとうしん
サケ太
kokekko
鴨の入れ首