出版社内容情報
ホームレスの女性が、公園で殺害されているのが発見された。犯人も動機も不明。彼女はなぜ、殺されたのか? 事件に興味をもったフリーターの女性が、不思議な縁で、被害者の人生に潜む嘘をひとつひとつ暴き、真実に近づいていく。巧妙な罠と高速で展開するストーリーに、いつの間にか目が離せなくなる。そして、ある瞬間に気づく。#さっちゃんはあなただったかもしれない #さっちゃんはわたしだったかもしれない
内容説明
公園で、ホームレスの女性が殺害された。犯人も殺された理由も、不明。仕事も人生もうまくいかず、ひとり寂しく暮らす女性が、その事件に感じた「縁」。人から人へ、糸をたどり、少しずつ「真実」へ近づいていく。まるで被害者に、導かれるように。だが―。気づいたときには、もう遅い。仕掛けられた「罠」に、あなたはすでに呑み込まれている!#さっちゃんはあなただったかもしれない。
著者等紹介
真梨幸子[マリユキコ]
1964年宮崎県生まれ。2005年『孤中症』で第三十二回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーに。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
329
真梨 幸子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本作は、著者ならではの真骨頂、バブル崩壊就職氷河期イヤミステリでした。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003707552022/12/08
ノンケ女医長
211
イントロダクションから、一気に引き込まれた。著者の、執筆活動に対する強い意気込みと、重責を行間から感じ取った。たくさんの作品を描かれて来られた真梨先生。「イヤミス」と呼称されることについて、本人はどう思われていたのだろう。今作は読後の「モヤモヤ」が明瞭化され、論点も具体的だ。事件被害者の立場と、逮捕され留置所に入れられた被疑者の末路。そもそも「さっちゃん」とは誰なのか、堪能しながら読むことができた。「女には呪いがかかっているんだって」(164頁) の言葉、とても胸に突き刺さりました。とても、良かった小説。2023/02/06
いつでも母さん
197
来たきたキター!真梨劇場開幕。読みながら真梨さんだ~にんまりしたのは私だけじゃないと思う。今作、私にはいつもほど人物相関図は混乱しなかったので、わりと読みやすい。そして、時代背景も懐かしさを覚える。だが‥だがなのだ(そこが真梨作品)気の毒だったのは西岡さん。気持ち悪いのは何人もいたが、タクシー運転手・船井史也が怖い。『さっちゃんはあなただったかもしれない』キャー・・2022/12/01
モルク
154
ホームレスの沙知が公園で撲殺され、顔見知りのカフェ店員佑子は嘗て彼女がアパートの同室に住んでいたことを知り彼女のことを調べ始める。バブル期と就職氷河期の違いこそあれシンパシイを感じいつかは自分も同じようになるのではないかと思う。話し手がころころかわり読者を翻弄する真梨節健在。かつての経験から「さっちゃん」に注意していたが、まさかのさっちゃん。でも今までの作品よりイヤミス感、複雑さ、モヤモヤは少なめかな。次作に期待する。2023/02/19
やっさん
132
★★★★☆ 刑事や探偵ではなく「野次馬」が事件の真相に迫るミステリー。イヤミス女王の真骨頂は、一旦事件が解決した七章以降だ。読み手の想像力に任せる曖昧な閉じ方をしており、読後しばらくは気味の悪さが消えなかった。2023/05/15