講談社文芸文庫<br> 三つの物語/十一月

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講談社文芸文庫
三つの物語/十一月

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  • サイズ 文庫判/ページ数 352p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784065294215
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

フローベール存命中に発表された最後の作品であり、『ボヴァリー夫人』とともに同時代の読者・批評家から例外的な大好評を博した「三つの物語」。18歳のフローベールがピレネー、コルシカ旅行の途中で知り合った女性との灼熱の恋をもとに描き、『感情教育』の母胎となったと言われる自伝的作品「十一月」。今も輝きを放つ二篇に、フローベール研究の第一人者が半世紀前に執筆した秀逸な解説を付す、傑作小説集。

内容説明

フローベールの存命中に発表された最後の作品であり、『ボヴァリー夫人』とともに同時代の読者・批評家から例外的な大好評を博した『三つの物語』。18歳のフローベールが旅行中に知り合った女性との灼熱の恋をもとに描き、のちの『感情教育』の母胎ともなった自伝的作品『十一月』。今も輝きを放つ名作二篇に、フローベール研究の第一人者による、半世紀前の秀逸な解説を付す。

著者等紹介

フローベール[フローベール] [Flaubert,Gustave]
1821・12・12~1880・5・8。小説家。フランス・ルーアン市生まれ。高名な外科医だった父のもとで育つが、幼少時より文学に親しみ、早くから創作、投稿も始める。大学では法学部へ進んだものの法律の勉強は放棄し、もっぱら文学・創作へと向かう。1856年、「パリ評論」に連載された『ボヴァリー夫人』が風紀紊乱等の理由で起訴されるも無罪を勝ち取り、翌57年に刊行されるとベストセラーとなり、作家としての地位を確立、フランス近代文学の傑作として世界中に影響を与えた

蓮實重〓[ハスミシゲヒコ]
1936・4・29~。フランス文学者、映画批評家、文芸批評家。東京都生まれ。東京大学仏文学科卒業。パリ大学にて博士号取得。東京大学教授を経て、東京大学第26代総長。1978年、『反=日本語論』で読売文学賞、89年、『凡庸な芸術家の肖像』で芸術選奨文部大臣賞、2016年、『伯爵夫人』で三島由紀夫賞を受賞。1999年にはフランス芸術文化勲章コマンドールを受章する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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しゅん

13
若き(35歳の)蓮實重彦の解説曰く、『3つの物語』は『ボヴァリー夫人』の大きすぎる成功以来苦しんできたフローベールが久々に商業的に成功した短編集。当代のフランスの女中、中世ヨーロッパの呪われた息子、洗礼者ヨハネの処刑と、寓話めいた三つの物語を語る。描写の細やかさと、数十年を一気に語る物語の大雑把さが均衡している。それが、読みやすい複雑さを形成している。『十一月』は初期小説で、青年期の夢想と娼婦との姦通を甘く空しく描き、最後に緩慢な死が訪れる。2023/05/09

佐藤

1
「不可能なものへの何ともしがたいもどかしさ」(「十一月」297)捉えがたい恋ゆえに書き連ねる男と、交わせば交わすほど渇く情婦の運命的な交錯だが、不可能性は二人を挫く障碍というよりはむしろ、二人を駆動させる情熱の核であり梃子である。「美しい上唇と下唇とは、この世の雄弁をそっくり集めたものより価値がある」(301)しかし美しい上唇と下唇が絡み合うことも殆ど稀であるから、やはり不可能なものが混じり合う時激しい悦楽に撃ち抜かれるのは言うまでもない。2023/04/03

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