出版社内容情報
9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。
タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。
内容説明
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。生贄には、その犯人がなるべきだ。―犯人以外の全員が、そう思った。
著者等紹介
夕木春央[ユウキハルオ]
2019年、「絞首商会の後継人」で第60回メフィスト賞を受賞。同年、改題した『絞首商會』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
1490
カルト教団が残した地下施設に10人が偶然閉じ込められ、地震と浸水が偶然重なって刻々と死が迫る極限状況下で連続殺人が起こる。あまりに都合の良すぎる設定で大丈夫かと思ったが、その点を横に置けば強烈なサスペンスで引っ張っていくクローズドサークル物に仕上がっている。何より事件の解明が正義の実現ではなく、犯人を犠牲にして自分たちが助かりたいためという逆転の異常さが異常と感じられなくなっていく有様が怖い。そしてラストの大逆転は前例のない驚愕モノで、茫然とするばかりだ。ミステリ史上における里程標的作品なのは間違いない。2022/10/12
W-G
1485
久しぶりに国内ミステリのヒット。面白かった。『絞首商會』の作者だと全然気づかなかった。解決編のロジックもしっかりフーダニットしていて好きだし、それだけでもいい作品だとは思うが、やはりラストが秀逸。方舟というタイトルから結末までが、コンセプトとして纏まりきった。途中までは、あからさまな名探偵役がいることが、物語から浮いて見えたり、階段部の水の上昇だけで、そんなに正確にタイムリミット割り出せるか?と、蛇足な部部にツッコミ入れたりもしたけれど、終わってみれば、全てがラストの衝撃に一役買っていて素直に感心。2022/12/28
青乃108号
1463
70年代の映画「ポセイドン・アドベンチャー」✕クローズドサークルといった風合いの小説だった。方舟は洋上にはなく、地下に埋まっているのだが。迫り来る浸水で逃げ場を失うタイムリミットまでに殺人犯を見つけられなければ全員死亡。よくこんなの思いついたなあ。これほど先が気になりやめられなくなった本はない。いやあるけどその中でも断トツで優勝。そしてその先、最後に待つものは。圧巻の結末にしばらく立ち上がる事が出来ない。これはまさしくブラボーな本だ。2023/04/12
まこみや
1463
最後のドンデン返しには思わずアッと声が出た。衝撃的な反転。しかし爽快感は感じられない、というか後味は悪い。探偵小説が19世紀の英国で興ったのは、根底に法に対する信頼があるからだと、丸谷さんがどこかで書いていた。その伝でいくと、この結末はその精神に反するからだろう。もちろんそれはこの作品の評価を貶めるものではないけれど。ただ僕の読み違えかもしれないが、閉塞状態に陥った直後ならば、犯人が考えた脱出法で助けを求めれば皆が助かった可能性もあるのじゃないか、という気がする。敢えてあのような動機と殺人を犯さなくても。2023/03/15
馨
1438
長いと思っていたけれどあっという間に読み終えました。地下建築に閉じ込められた7人、後から来た謎の3人家族。起こる殺人。犯人は?無事脱出できるのか。犠牲になる人は?皆が怪しいし、疑って読んでいましたが、私が途中で犯人と予想していた人物は犯人ではなかったです。昔使われていた地下建築とか、不気味な廃墟とか、絶対近寄らない入らないようにしようと思いました。2022/12/03