出版社内容情報
河合 莞爾[カワイ カンジ]
著・文・その他
内容説明
東京ティーレックスの絶対エース・矢神大、失踪―。日本中が大騒ぎになる中、ブルペンキャッチャーの沢本拓は、わずかな手がかりを頼りにハワイへ飛び、ホームレスになっていた矢神を発見する。矢神は記憶障害に陥り、ボールの投げ方を忘れてしまっていた。何とか再起させたいと願う沢本、だが球団は矢神に戦力外を通告する。そんなある日、矢神は自宅の地下で手書きのノートを見つける。そこには自分の投球技術に関する詳細な記録と、奇妙な告白が書かれていた。矢神が昔投げて、人を殺した「消えるボール」は封印する、と―。矢神の豪速球は復活するのか。そして、殺人の告白に隠された驚くべき秘密とは。
著者等紹介
河合莞爾[カワイカンジ]
熊本県生まれ。早稲田大学法学部卒業。2012年、第32回横溝正史ミステリ大賞を『デッドマン』で受賞しデビュー。受賞作は綾辻行人氏に激賞される。強烈なキャラクター造形力と企みに満ちた謎で読者をつかんで離さない実力派(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nobby
138
失踪した末に記憶障がいで投げ方をも忘れた剛腕投手の豪球スモーク復活なるか!もう超絶なスターぶりのワクワクから、復活に徐々に向かうドキドキ感と分かりやすくも立ちはだかる現実的な障壁の生々しさのバランスがスゴくいい!ちょっといろいろ丁寧過ぎて説明の繰り返し多いのが気になった(笑)所々で意味深に描かれる事柄がミステリへと導かれるのだけれど…うーん、個人的には無くてもよかったかなと…せっかく「消えるボール」なんて魅力たっぷりなワードで盛り上げるのなら、そっちの要素でなくてあっちのキワモノに持って行って欲しかった…2022/12/28
ma-bo
98
スポーツ小説×ミステリー×友情。エースピッチャーが故障で失踪。ハワイで見つかるが記憶障害で投げ方さえ忘れている状態。復活を期す前半から、過去に起こった殺人事件が絡み後半はミステリー色が強くなる。見つかった一冊のノート、主人公矢神の秘密が積み重なり繋がるラスト。2023/03/21
ナミのママ
74
河合莞爾さんの新作はガッツリ野球小説。エースピッチャーの矢神大が失踪した。高校時代から関わりのあるブルペンキャッチーの沢本拓はハワイでホームレスになっていた大を見つける。この2人の信頼と熱い友情がいい。記憶障害から投げ方すら忘れていた大の復活劇かと思われたところで現れた刑事。見つかった一冊のノート。ミステリ色の後半だが河合さんの作品はそれだけで終わらない。これでもかこれでもかと積み重ねて繋がるラストはみごと。野球に詳しくなくても十分に楽しめる。2022/11/29
雅
68
野球小説としての盛り上がりからミステリーへ。畳み掛ける展開が面白かった2023/02/09
オーウェン
64
かつて天才投手と呼ばれた矢神大。 だがハワイでホームレスになっているところを、ブルペンキャッチャーの沢本に発見される。 八神は記憶喪失に掛かっており、日本でなんとか一流の投手に戻そうとする。 前半から中盤は復活の手探りだが、消えるボールと殺人の告白というミステリが顔を覗かせてくる。 非常にテンポがよく、オールスターに絡めたクライマックスの真相も中々練られている。 冒頭からの伏線もそういうことかと納得。2024/04/11