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出版社内容情報
藤 えりか[トウ エリカ]
著・文・その他
内容説明
ベトナム戦争の真実を世界に知らしめた「写真の少女」のその後の人生。どんな過酷な逆境下でも懸命に、そして賢明に生きる。感動のノンフィクション。
目次
ナパーム弾はこうして落とされた
苦痛の日々
「サイゴン陥落」、続く混乱
社会主義体制となった国で
初めて見た「西側」
キューバへ
賭け
カナダでの一歩
転機
米国へ
再びのベトナム
「五〇年」へ
著者等紹介
藤えりか[トウエリカ]
1970年生まれ、京都府出身。朝日新聞記者。93年に朝日新聞社に入社。水戸支局、北海道報道部、東京や名古屋の経済部、国際報道部などを経て2011~14年にロサンゼルス支局長を務め、移民問題やマイノリティー差別、サイバーセキュリティー、ギグエコノミー、ハリウッド、米国やラテンアメリカの大統領選などを取材。その後、経済部やデジタル機動報道部でSNSの誹謗中傷をめぐる企業や法規制の問題なども取材。映画などを通して世界を考える「シネマニア・リポート」を朝日新聞デジタルなどで連載。「ライジングサン国際映画祭」(北九州市)で審査員。朝日新聞ポッドキャストに出演、MCも務めるなど、幅広く活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ルピナスさん
77
ベトナム戦争のこの写真、見た記憶があった。写真の撮影者ニック・ウト氏は被写体の少女を救い、少女キム・フックは様々な局面で苦しみに直面しながらも、自力で道を切り開こうと動き続ける中で沢山の人に支えられ、今はカナダから希望の持てる世界の実現を目指しメッセージを発信し続けている。良かった!でもその声は表現の自由がない母国ベトナムには届けられない。戦争の被害者なのに国家のプロパガンダに利用され、自由を求めて逃走、戦争はやめてと世界に訴え続ける。こんな切実な声を前に尚悲劇を繰り返してしまう人間の愚かさが悲しい。2022/10/28
榊原 香織
71
この写真を撮れた状況が不思議で、それは読んでも釈然としない。 近年FBで、子供の裸、で削除されちゃったそうですが、服はナパーム弾で一瞬に溶けたとのこと。 彼女のその後の話。今はカナダ在住。2022/11/20
たま
60
ナパーム弾に被爆し泣きながら走る少女(1972)。10代で毎日ベトナム戦争報道に接していた私にとって忘れがたい写真。彼女キムさんのその後を綴った本を読んだ。重度の火傷を負ったキムさんはサイゴン陥落(75年)後政府のプロパガンダに利用される。その頃の日本はベトナム難民とポルポト虐殺に仰天していた。彼女はカナダに亡命(92)、キリスト者として反戦活動を続け、ワシントンのベトナム戦争戦没者慰霊碑にも招かれスピーチした。写真を撮ったウトさんは私の数歳年上なだけ、その後も通信社の写真記者として活躍し健在とのこと。→2023/01/30
つちのこ
38
戦争の悲惨さを切り撮った表紙の写真は、これまで幾度も目にしてきた。ベトナム戦争を終結に導いたきっかけの一つになったともいわれており、重度の火傷を負った被写体の全裸の少女(キム・フック)とともに数奇な運命をたどっていく。一枚の写真がもつ影響力に翻弄されながらもそれを武器にして、平和を訴える活動に身を投じたキム・フックはまさに“選ばれし人”である。言論の自由が閉ざされた社会主義体制下のベトナム、キューバから決死の亡命を経て自由の身となっていく過程は、ミステリ小説ばりのドラマチックな展開。驚かずにはいられない。2022/09/13
kan
30
「ナパーム弾の少女」の写真から50年超、少女のその後の人生をまとめた評伝。重い火傷と一生付き合っていく苦痛に加え、有名になってしまったために時代と国家に翻弄され続け辛酸を嘗める彼女だが、自由を切望し決断し行動する姿に圧倒された。人との出会いの不思議さと、運命と国家体制の組み合わせの残酷さに言葉を失う。彼女がカナダの市民権を得た年に私もトロントに住んでいたが、当時、特に香港返還による移民も含め大勢が市民権を申請していた。カナダの寛容な姿勢は格別だった。勤務校の新着本で手にしたが、高校生にも薦めたい一冊だ。2024/03/09