出版社内容情報
林 けんじろう[ハヤシ ケンジロウ]
著・文・その他
いとう あつき[イトウ アツキ]
著・文・その他
内容説明
広島県尾道市に住むイルキは、大好きないとこのせいちゃんに“ひっつきもっつき”な中1。“ひっつきもっつき”とは、方言でべったりくっついて離れないことを指す。難病にかかっているせいちゃんはある日、「映画が観たいのう」とぽつりともらす。大阪出身の同級生・ハジメと調べたところ、その映画はどうやら、京都まで行かないと手に入らない自主制作映画らしい―。“ひっつきもっつき”イルキと大人びたハジメ。少ない軍資金と期待を握りしめ、尾道から京都までの二人旅が始まる!第62回講談社児童文学新人賞佳作。
著者等紹介
林けんじろう[ハヤシケンジロウ]
1974年、広島県生まれ。1997年、大阪芸術大学映像学科卒業。2003年、大阪芸術大学大学院修士課程修了。2021年、本作で第62回講談社児童文学新人賞佳作に入選。著書に第17回ジュニア冒険小説大賞受賞作『ろくぶんの、ナナ』(岩崎書店)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
72
児童書。YA。尾道(広島)の中学生、イルキは15歳年上のいとこのせいちゃんが大好きで「ひっつきもっつき」と言われていた。せいちゃんが難病にかかり大好きだった映画製作も大学もあきらめて自宅療養で落ち込んでいるのをみたイルキは、せいちゃんの笑顔を見たいと思う。寺の境内でひとりマンガを描いていた転校生のハジメと仲良くなったイルキは、一緒にせいちゃんの映画を探す。自主制作の映画を突き止めたイルキとハジメは、二人で京都まで行く計画をたてた▽爽やか青春YA。尾道弁と大阪弁がとてもいい。2023/05/15
へくとぱすかる
43
ふたりの少年の会話が尾道弁と関西弁で、それでも違和感なくどんどん進む、しゃべりまくる。言葉は荒削りでも、そこに虚飾などまるでなく、むき出しの心の動きがぶつかってくる。親に嘘をついてまで、尾道から京都までの、従兄に見せたい映画のための冒険が始まる。著者の経歴を見ると、大学では映像が専門だったらしい。いわば自分の世界に分身となる多くのアバターを活躍させた作品なのだろう。おそらく映画製作にも大いに通じるものがあるに違いない。旅と映像は、中学生であるイルキらにとって、まだこれから続く青春期の魅力ある要素だと思う。2025/05/13
れもん
29
電子書籍。主人公のイルキは、病気を患っているいとこ・せいちゃんの「映画が観たいなぁ」という言葉を聞き、友達のハジメと共に映画を探し当て、そのDVDを手に入れるために長距離旅に出かける、というお話。お互いに助け合いながら旅をする二人。支え合うことの大切さ、『仲間』の大切さが、心に沁みた。2024/04/19
雪丸 風人
16
優しさあふれる物語ですね。主人公は大それたまねなどしたことがない中学生男子。難病で臥したままのいとこが見たいとつぶやいた映画とは何なのか?一風変わった連れとタッグを組んだ主人公が、その作品を探し求めて“一か八かの大勝負”に出ます。密やかに計画練り実行に移していく過程のワクワク感が凄いですね。思わぬトラブルもありますが、少年たちの友情が育まれていく流れは微笑ましい感じ。そして、弱みと思われたことが実は強みであり、主人公がそれを活かして活躍するというラストは最高にカッコよかった!(対象年齢は12歳以上かな?)2022/10/28
くぅたん
12
難病を抱えるいとこが見たいという映画を探すために、友達と尾道から京都まで行く。中学生の冒険と、それぞれの抱える想い。中学生らしいストーリー。2023/01/10