出版社内容情報
宮沢 賢治[ミヤザワ ケンジ]
原著
藤城 清治[フジシロ セイジ]
著・文・その他
内容説明
40年前の画像をデジタル技術で美しく、ページ増で影絵をゆったり堪能できる。物語の世界が伝わりやすい横型の判型。いつまでも読み継ぎたい、珠玉の一冊!
著者等紹介
藤城清治[フジシロセイジ]
1924年東京に生まれる。慶應義塾大学経済学部卒業。12歳から油絵を始め、独立美術協会展、新制作派展に入選。名編集者の花森安治に認められ、雑誌「暮しの手帖」に影絵を連載。また影絵劇団・木馬座の上演、展覧会の開催など多彩な活動を続ける。1983年には本作『銀河鉄道の夜』(原作・宮沢賢治 講談社)で、BIB金のりんご賞を受賞。紫綬褒章、勲四等旭日小綬章など多数の受章、受賞歴がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
189
100歳記念/藤城清治版画展@銀座教文館にて。 この作品と藤城影絵は相性バツグン。 物語の世界に引き込まれます。 幸せを探す旅の先に、宮沢賢治の言葉「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」があるのにも感動できます。2024/08/25
なつきネコ@たくさんの本に囲まれてご満悦な化け猫
37
小説はすでに読了。藤城清治さんの影絵が幻想的で、銀河鉄道の夜の世界観にそって素敵。こんな世界が影絵で表現できるなんて……今回は小説の中身を知っていたから、逆算で読むことができ、わかることがあった。カンパネルラの良いことをしたが、親孝行という観点で言うと罪を行っている。そのことへの罪悪感。この罪悪感を昇華させていく旅なのかもと。世界観は賛美歌や十字架などキリスト教的な要素で語られて、サソリの話は仏教の「捨身月兎」の話を連想する。仏教の自身を捨てて誰かのため命を使い、皆の本当の幸せを求める賢治の思想が見えた。2025/02/02
yapipi
16
七夕の夜、「銀河鉄道の夜」の絵本をもう一冊。この物語には自己犠牲の話がいくつか書かれています。銀河鉄道では自己犠牲によってこの世で命を無くしたものが最後まで旅をすることが出来るようです。キーワードはいずれも「ほんとうの幸い」です。藤城清治の絵本は影絵を用いていて、とても幻想的で素敵です。深い陰影が子供の時どこかで見た懐かしい世界を感じさせます。天気輪の柱って銀河鉄道を招き寄せる通信塔なのか?素晴らしい!でも、物語は抜粋でしかも改編されているので、例えば「ほんとうの幸い」は何かって考えるにはやや不足でした。2025/07/07
gtn
14
宮沢賢治の作品は、幻影的に見えて写実。例えば、「まるでダイアモンド会社で、ねだんが安くならないために、わざととれないふりをいてかくしておいた金剛石を、だれかがいきなりひっくりかえして、空じゅうにばらまいた」と、比喩も具体的。今般の米高値を連想。2025/06/19
Drivin' a blue car
11
名作と謳われるこの作品、これまで読む機会がなく初めて読んだ。清らかに澄んだ物語。背景の描写も、読んでいるだけで脳内にたくさんの色が思い浮かべられるのだが、そこに藤代さんの影絵が加わることによって、一気に世界観が大きく広がるのを感じた。たくさんの人たちに読んで欲しいと思った一冊。2024/02/04