出版社内容情報
故郷をおんでて何十年、他国に流離で十何年、親も夫も子も危機で、死と老いと病とが降りかかる。それでも生き抜く伊藤しろみ。この苦が、あの苦が、すべて抜けていきますように。本書は詩であり、語り物であり、また、すべての苦労する女たちへの道しるべである。単行本未収録とげ抜きスケッチ2篇を巻末収録。
目次
伊藤日本に帰り、絶体絶命に陥る事
母に連れられて、岩の坂から巣鴨に向かう事
渡海して、桃を投げつつよもつひら坂を越える事
投げつけた桃は腐り、伊藤は獣心を取り戻す事
人外の瘴気いよいよ強く、白昼地蔵に出遇う事
道行きして、病者ゆやゆよんと湯田温泉に詣でる事
舌切らず、雀は婆を追い遣る事
梅雨明けず、母は断末魔に四苦八苦する事
ポータラカ西を向き、粛々と咲いて萎む事
鵜飼に往来の利益を聴きとる事
耳よ。おぬしは聴くべし。溲瓶のなかの音のさびしさを。の事
秋晴れに浦島の煙立ち昇る事
瘤とり終に鬼に遇い、雀の信
内容説明
故郷をおんでて何十年、他国に流離で十何年、親も夫も子も危機で、死と老いと病とが降りかかる。それでも生き抜く伊藤しろみ。この苦が、あの苦が、すべて抜けていきますように。本書は詩であり、語り物であり、また、すべての苦労する女たちへの道しるべである。単行本未収だったとげ抜きスケッチ2篇を巻末特別収録。萩原朔太郎賞・紫式部賞W受賞作。
目次
伊藤日本に帰り、絶体絶命に陥る事
母に連れられて、岩の坂から巣鴨に向かう事
渡海して、桃を投げつつよもつひら坂を越える事
投げつけた桃は腐り、伊藤は獣心を取り戻す事
人外の瘴気いよいよ強く、白昼地蔵に出遇う事
道行きして、病者ゆやゆよんと湯田温泉に詣でる事
舌切らず、雀は婆を追い遣る事
梅雨明けず、母は断末魔に四苦八苦する事
ポータラカ西を向き、粛々と咲いて萎む事
鵜飼に往来の利益を聴きとる事〔ほか〕
著者等紹介
伊藤比呂美[イトウヒロミ]
1955・9・13~。詩人。東京都生まれ。1980年代、女性詩ブームの先駆けとなる。出産育児エッセイの先駆けともなる。前夫と離婚し、1997年、子どもを連れて渡米。カリフォルニアでイギリス人パートナーと新家庭、やがて熊本に住む両親の介護のため日米を往復するようになる。2018年から3年間、早稲田大学教授。拠点を熊本に移す。子育て、更年期、介護―人生のおりおりを、詩に、文学に、昇華しつづける。90年代から始めた仏教文学、経典の現代語訳、人生相談においてもますます注目されている。『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』にて萩原朔太郎賞・紫式部賞をW受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。