出版社内容情報
鏑木 蓮[カブラギ レン]
著・文・その他
内容説明
何者かに腹部を刺された五十嵐夏帆が大阪の三品病院に緊急搬送された。懸命な治療の甲斐もあり、損傷した脾臓を温存したまま夏帆は一命をとりとめた―かに思えたが、術後あり得ない速さで容態が急変、命を落としてしまう。死因は刺傷によるショック死、あるいは医療ミス、それとも―?院長から死因の究明を命じられた内科医の家入陽太郎は、夏帆の事件を担当する大阪府警の刑事・成山有佳子の協力を得て調査を開始するが…。
著者等紹介
鏑木蓮[カブラギレン]
1961年京都府生まれ。広告代理店などを経て、92年にコピーライターとして独立する。2004年に短編ミステリー「黒い鶴」で第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を、06年に『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さっこ
78
腹部を刺され緊急搬送された五十嵐夏帆。脾臓を温存したまま一命をとりとめたものの、術後あり得ない速さで容態が急変し命を落としてしまう。ミステリと医療小説。感染症って怖いんだなと改めて思う。細菌などの医学用語が多くて流し読みになった部分が多かった。表題からイメージしていた内容とはちょっと違った。2022/09/28
雪紫
69
腹部を刺された美容研究家。上手く行った手術がかなり早い進行で「急変」し、死亡。果たして彼女に何が起こったというのか・・・? 専門会話でわりと読みにくく、死の原因や中盤の病気の進行は怖い・・・。そして真の探偵役である院長のインパクトが最初から最後まで凄まじく、こんなの敵に回して勝てる気がしない感半端ない。コロナ禍の話題も出たが、こんな院長がコロナ禍に挑んだらとんでもない気がする・・・。2022/10/18
kei302
64
国内でも珍しい「原発性アメーバー髄膜脳炎」。同じ感染症の患者を一週間で二人も治療。家入陽太郎が抱いた違和感が事件のカギとなって…。人喰いアメーバーなんていうが、実はどこにでもいる生物で、接触したくらいでは罹患しない。そう言われても、今、この時期に読むと、感染症への注意を怠っていた私たちへの警鐘とも受け取れる。NetGalleyJP2022/08/04
ゆのん
64
初読みの作家だが医療ミステリのイメージがあった。本作もタイトルから推測出来る様に医療ミステリだ。母親との電話中に刺された美容界で著名な女性。もちろん刑事が登場し犯人探しが始まるのたが、本作の面白さは他にもある。死因の特定、その為に奔走する医師と無理難題を吹っかける院長。この院長・三品が私は最高に気に入ってしまった。作品内では殆ど院内にいる所謂、安楽椅子探偵だ。動くのは専らワトソンとなる。犯罪も怖いが目には見えない『敵』の怖さも感じる。患者の命を第一に考える院長の矜持が素晴らしい。非常に面白かった。2022/07/26
花ママ
56
久しぶりの鏑木さんだったが面白かった。女性刑事の成山が医師の家入の助けを借りて、犯人を突き止めていくかと思いきや、次第に医療の領域からの考察が主になって、犯人を絞りこんでいく。犯人像も二転三転して、最後までわからなかった。作中の病原菌についての解説は勉強になった。エピローグには新型コロナの影が見え始めた頃の様子が描かれ、改めて病原菌の知識と備えは、身を守る上で必要なんだと思った。#NetGalley JP2022/07/28