出版社内容情報
“思い”のこもった諸国の菓子が、強張った心を解きほぐす――。
親子三代で営む菓子舗を舞台に、人の温もりを紡いだ傑作時代小説!
武家出身の職人・治兵衛を主に、出戻り娘のお永、孫娘のお君と三人で営む「南星屋」。
全国各地の銘菓を作り、味は絶品、値は手ごろと大繁盛だったが、治兵衛が手を痛め、
粉を捏ねるのもままならぬ事態に。不安と苛立ちが募る中、店の前に雲平という男が行き倒れていた。
聞けば京より来たらしいが、何か問題を抱えているようで――。
内容説明
店の主の治兵衛が諸国をめぐり見覚えた菓子を手頃な値で売る「南星屋」。娘と孫の三人で店を繁盛させた治兵衛は、手首を痛めてしまう。納得のいかぬ代物に苛立ちが募る中、店先に雲平という男が行き倒れていた。京から来たわけを訊くと、込み入った事情があるようで…。荒んだ心をほぐす人情味溢れる時代小説。
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。’12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞を受賞。’15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞。’21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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本詠み人
111
「こういうのはな、身内同士の綾みたいなもんだ。いわばにぎやかしだよ、気にすんな」恋に落ちた娘を慮る治兵衛の言葉が優しい✨怪我をした治兵衛を助けるため、流れの菓子職人 雲平が加わり、南星屋に新たな風が吹くシリーズ第2弾。若いころ同じように流れの職人だったから分かる気持ち…治兵衛と雲平の相性がすこぶる良くて、お菓子が進化してゆく。そして離れ難い気持ちになっていくのを切なく見守るが…。忙しい日々の中でホッとできる読書は、西條奈加さんの時代小説がよい、今日この頃である✨2023/05/25
のんちゃん
88
江戸麹町で娘、孫と共に菓子屋を営む治兵衛の物語第二弾。今回は、京の菓子屋から江戸に人探しに戻ってきた雲平という菓子職人が、手を負傷していささか不自由な治兵衛の為に、治兵衛の助手として南星屋に身を置き、その人探しの方を治兵衛が手助けする話となっている。前作同様、美味しそうな描写の和菓子とそれに加えて、雲平の存在が治兵衛一家に立てるさざなみ、謎多き人探しと興味深い作りだ。今回も数々の登場和菓子をネット画像で検索。そのまま和菓子を買いに出かけたのも前作読了の時と同じ😆ほんと、餡子って幸せを運んでくれる😘2022/09/03
あっちゃん
80
シリーズ2作目!孫が元気に復活しているけどちょっと成長していて微笑ましい(笑)今回は怪我した治兵衛の助っ人、流れ者菓子職人の話を主流に家族のアレコレ!皆んなでずっと仲良くしていて欲しいけど、お永やお君も近い将来幸せが訪れてほしいなぁ( ̄▽ ̄)2023/05/16
sin
65
左手を痛めてしまい菓子づくりが儘ならない治兵衛とその家族のもとに江戸の町に迷って行き倒れた男が転がり込む…先の『まるまるの毬』での意外な出自が家族に騒動をもたらしてしまい孫を気遣う治兵衛だが、菓子づくりに精をだすことでその暮らす日々が次第に元通りになっていたように思えたが、怪我で他人の手を借りるはめに陥ったとき助けた男が偶然にも同じ菓子職人であったことから菓子づくりにかける治兵衛の想いに新たな風を吹き込むこととなる。2022/06/17
香翠
49
創意工夫と長年培った菓子作りの技術が、人の気持ちを和ませ動かしていく。つい急かせかとしてしまうけれど、ゆったりとする時間を持つと見えてくるものもあるのかな?2022/09/04