出版社内容情報
広瀬 和生[ヒロセ カズオ]
著・文・その他
内容説明
圧倒的な話芸で人気を博した、落語家・柳家小三治(一九三九‐二〇二一)。その真の“価値”は、どこにあったのか。近代落語史の系譜を辿りながら、高座はもちろん、市販された全音源・映像を丁寧に検証し、九十席以上の演目を分析。正面から切り込んだ本人へのインタビューをも収録して、「芸」の善し悪しや、日本が誇る「落語」の存在意義を明らかにする!
目次
第1章 小三治から見た近代落語史
第2章 「小三治落語」の演目
第3章 小三治インタビュー(落語協会会長就任について;小三治「茶話会」会見にて)
著者等紹介
広瀬和生[ヒロセカズオ]
1960年、埼玉県生まれ。東京大学工学部卒業。ヘヴィメタル専門誌「BURRN!」編集長。落語評論家。1970年代からの落語ファンで、毎日のように生の高座に接し、自ら落語会のプロデュースも手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
14
2021年10月7日に81歳で亡くなった落語家、柳家小三治の落語についてまとめた本。これほどこの無愛想で面白い落語家を理解し、評価し、分析し、愛した評論があったでしょうか。今まで知らなかった小三治師匠の内面まで含め、丁寧に解説しています。特に、師匠の噺の魅力を「可愛い」と評しているところが秀逸かな。じっくり読み直したい一冊。第二章に師匠が演じた噺の演目とその解説があり、師匠の多彩さと作家・広瀬和生氏の調査の奥深さに圧倒されます。──長年の落語ファンなのに数編知らない噺があって、がっかりしました。(笑)2022/06/05
やまねっと
9
昨年亡くなった柳家小三治について書かれた本。面白かった。前著も買って読んでいたが、演目紹介も事細かに書かれていてまさに小三治演目の決定版だ。小三治の最晩年を支えた本。良い帯だ。あとがきで、本人から著者に向けてあなたの文章が好きですと言われたことは読んでいてじーんときて不覚にも涙ぐんでしまった。 もっと見たかった噺家でもあった。亡くなった噺家に思ってしまう気持ちだ。 自然と心に入ってくるおはなし。そこにクスッと笑ってしまうそんな噺。それはもう出来ていたと思う。 後世に語り継がれる本になってほしい。2022/06/05
yone
3
昨年残念ながら亡くなられた落語界の人間国宝柳家小三治についての本。以前出版されたなぜ小三治の落語はおもしろいのかに大幅に加筆修正を加えたもの。以前の本も読んでいたが、すっかり内容を忘れているので、新鮮に読めました。小三治師匠の話す声が耳元で聞こえてくるよう。ボーナスが出たらCD BOXセット買おう。2022/05/03
issy
2
広瀬氏の落語・落語家に関する知識、落語鑑賞量の豊富さに基づいた小三治論。小三治がいた時代の落語界の総括、小三治の代表的な演目の紹介、そして小三治本人へのインタビューと、徐々に小三治の落語観、芸に対する思い、あるいは、哲学に迫る充実の一冊。他の演者と小三治の落語の面白さの違いの正体は何なのか、鋭い分析に唸らされる。エピローグ的に紹介される、実は小三治が広瀬氏の著書を携帯し、愛読し、更に参考にまでしていた、という逸話には込み上げるものがある。2022/08/11
はえ太
1
小三治師匠の噺はいかにも”柳家”の芸という感じがあり、いわゆる”大ネタ”を”大げさに演る”噺家ではなく、”前座根多”にもなるような軽い根多も”気持ちよく”演る噺家だった。なくなったのが惜しい。2023/06/15