出版社内容情報
第167回芥川賞受賞!
「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。
職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。
ままならない微妙な人間関係を「食べること」を通して描く傑作。
内容説明
職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。ままならない人間関係を、食べものを通して描く傑作。心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。
著者等紹介
高瀬隼子[タカセジュンコ]
1988年愛媛県生まれ。立命館大学文学部卒業。2019年『犬のかたちをしているもの』で第43回すばる文学賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1439
タイトルからはほのぼのとした家庭小説を想像した。しかし、今どきの芥川賞作でそれはないよなと思い直して、ともかく読んでみた。昨今の芥川賞作の中では、敷居が最も低いだろう。語彙においても、主題においても難解なところはどこにも見当たらない。わずかに、構成において二谷と押尾の二人の視点を一人称と三人称のあわいのような文体で対置している点がユニークか。「食」をめぐる物語でもある。そして、会社内における人間関係の物語でもある。そして、二人の視点から浮かび上がる芦川の存在のあり方、もしくは二人、あるいは周辺の人物たち⇒2023/09/11
馨
1309
地元出身の作家さんの芥川賞受賞!暫く完売で念願の購入。ありそうな会社、社員。二谷氏と押尾女史目線で話は進む。手作りスイーツを差し入れする芦川女史。褒められたいのか差し入れする自分に惚れているのか、生モノはその場で消費しないといけないしお礼等気を遣うしこういう人本当にいて正直迷惑。私は完全に押尾派で悪者になり易く損な人物。職場が無ければ絶対出会わない、話さない嫌いな人も職場じゃ出会うし喋るから不思議。二谷氏がちゃんとしたごはんの後カップ麺を食べるのが凄くわかる。ちゃんとしたごはんで心が満たされる訳じゃない。2022/08/14
starbro
1273
第167回芥川龍之介賞受賞作・候補作、第二弾(2/5)、今回は受賞作です。高瀬 隼子、初読です。 食べ物と職場の微妙な人間関係、単に職場で二股かけているだけのような気もしますが、楽しく読めました。但し、文学の香りはあまりせず、芥川賞というよりも、直木賞?という感じです。私は美味しいものが好きなので、個人的には、芦川さん推しです(笑) https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000363638 2022/08/12
さてさて
1075
『結局我慢する人とできる人とで世界がまわっていく』。この作品では『彼女はここで守るべき人』と周囲から思われている存在の芦川とそんな彼女と正反対とも言える押尾という二人の女性を登場させることで、会社組織の裏側にある危うさがふっと浮かび上がる中に物語が描かれていました。ネガティヴな感情渦巻くオフィスの描写がリアルさを際立たせてもいくこの作品。書名からイメージした作品内容とは全く違うところにあるドロドロとした描写の連続に、『おいしいごはん』を食べるとはどういうことなのだろう、と考えてもしまう、そんな作品でした。2023/06/17
青乃108号
1036
前に何かで書いたけど、俺は食べる事に興味がない。栄養補給用の錠剤を飲むだけで生きて行けたらどんなにいいだろう、と常々思っていたのだが、この本の中の二谷が全く同じ事を言っていて。それな、その通り!と驚いたというか嬉しかったというか。あと、食べないといけない時は出来るなら1人で食べたい。食べながら感想言わなきゃならないなんて苦痛だし。退職前に自分の為の送別会をドタキャンした押尾は最後に皆の前で、どうせ辞めるのだからと思った通りの事を言い放って立ち去る。何て清々しい。対して芦川。なんて押し付けがましく鬱陶しい。2025/01/15