出版社内容情報
大友克洋が24―25歳の頃、1978─1979年にかけて制作した12篇の短編漫画を発表順に収録した作品集。翌年の1980年には『童夢』や『気分はもう戦争』を発表し始める著者の才能が世間に轟く前夜、その胎動の如く完成度を上げていく短編の数々は一作ごとに趣向を変え、驚異の多面体を形成する。特に表題作の『Fire-Ball』は、それまでリアル路線の人間ドラマを中心に作品を紡いできた著者がSFという新たなジャンルに開眼した重要作。後の『童夢』『AKIRA』に直結する「超能力」を描き、それまでと作風を一変させた壮大なスペクタクル描写は、著者にとってのマイルストーンとなった。収録作の内訳は『ショート・ピース』(1979年/奇想天外社)より2篇、『ハイウェイスター』(1979年/双葉社)より4篇、『GOOD WEATHER』(1981年/綺譚社)より3篇、『彼女の想いで…』(1990年/講談社)より表題作を含む2篇。さらにこれまで未収録だった幻の短編『遠い祭り』が待望の初・単行本収録。また従来の短編集ではモノクロ化されていた着色原稿も、すべてカラーにて完全に復刻。著者自身による解説も読み応え充分の完璧版!
※「OTOMO THE COMPLETE WORKS」第5巻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねりわさび
89
全集第5巻。ペンタッチが安定し誰もが見知った大友克洋氏らしい絵柄が堪能できる。表題作であるAKIRAの雛型FIREBALLの他、静岡県クーデターを描いた信長戦記などのSF劇画が収録されており、短編のドタバタギャグ漫画も多数掲載されている。大友ファンというより漫画がお好きな方々に強く購読をお勧めします。とても面白かったですね。2023/08/17
keroppi
75
1978年から1979年の作品集。「Fire-Ball」を大きいサイズで読みたいなと思って購入。ほとんどの作品は、読んでいるし単行本も持っているのだが、あらためて、このサイズで、しかもカラーページも有りで読むと、大友克洋の画力に見惚れてしまう。登場人物の体臭すらしてきそうなリアルな存在感。それでいて、ぶっ飛んだストーリー。「Fire-Ball」について、本人は失敗作と語っているが、コンピュータと超能力が交差し、迫力ある絵を見せてくれる魅力ある作品。ここから「童夢」「AKIRA」へと繋がっていくのだな。2023/10/24
ぐうぐう
25
『OTOMO THE COMPLETE WORKS』で再読する、1978年から1979年に発表された短中編集。冒頭の「つやのあとさき」なんかが、実は大友克洋を一番感じる作品なのかもしれない。売れない噺家が主人公で、発想の元が『幕末太陽傳』、ストーリーが日活ロマンポルノの着想で、タイトルが永井荷風から取られているのだから。あとがき解説によれば、上村一夫に誘われて行った新宿二丁目のゲイバーに触発されているらしい。そんなエピソードが、またグッと来る。(つづく)2023/07/27
KDS
5
1978年〜1979年の作品集。未読だったものは「遠い祭り」と「ヘンゼルとグレーテル」の二作品。「銃声」収録作と比べると、その絵柄の進化には驚かされる。この頃にはほぼビジュアルが完成されつつあるのがわかる。「あしたの約束」に登場する刑事二人は「童夢」に出てくるキャラの原型。また、表題作「Fire-Ball」が本書のなかでは突出して面白い。超能力がテーマのこの作品の評判が良かったため、その後「童夢」や「AKIRA」が執筆されることになったらしく、その前身とも思われるシーンがあちこちに散見されており興味深い。2023/07/23
うぃ
1
1.5 あれ?当時始めてFire-Ball読んだときはもっと衝撃だったんだけど、あれ?2024/09/02
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