出版社内容情報
第166回芥川賞龍之介賞候補作。
「終わったのかな」「なにが?」「世界?」
同じ車に乗り込んだぼくら四人は、映画を撮るために鳥取砂丘を目指す。
注目の新星が重層する世界の「今」を描く、ロード&ムービー・ノベル。
「これからぼくらが話すことは、人類最後の会話になるかもしれない。
そうやって考えるとき、皆は何を話したい?」
記憶すること、思い出すこと、未来に向かって過去をみつけ直すこと。
現実と虚構の別を越えて、新しい世界と出会う旅。
群像新人文学賞受賞のデビュー作『鳥がぼくらは祈り、』に続く、23歳の飛躍作!
内容説明
「終わったのかな」「なにが?」「世界?」同じ車に乗り込んだぼくら四人は、映画を撮るために鳥取砂丘を目指す。注目の新星が重層する世界の「今」を描く、ロード&ムービー・ノベル。第166回芥川賞候補作。
著者等紹介
島口大樹[シマグチダイキ]
1998年埼玉県上尾市生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。2021年、「鳥がぼくらは祈り、」で第64回群像新人文学賞を受賞。同作が第43回野間文芸新人賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
209
第166回芥川賞受賞作&候補作第二弾(2/5)です。島口 大樹、初読です。著者が大学の後輩(しかも同じ学部)で埼玉県在住ということで親近感が湧きました。人類滅亡に近い状態での群像劇、特殊な状況の割にはのんびりとした不思議な世界観でした。「皆のあらばしり」よりは好いですが、芥川賞には推しません。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003619832022/01/24
美紀ちゃん
72
この世界じゃないどこかに、弟がいる!と思っているトリキ。 若者が話す、今時の言葉や、言い方などがずっと続くが、 リズム感がいいので読みやすい。 ゴミなのか?海に落ちている物を集める女子について、あるいは犬の散歩について話すマーヤ。 浜松のトリキの実家に泊まり、鳥取へ。 「世界って何?」 話が尽きない。 青春だなぁと思う。 表紙も印象的。 芥川賞ってこうだよ、結局何だろう?わからん!って感じ。 登場人物の島口って作者? 1羽持ち帰った鳥の話は、ホラーのようで怖すぎる。終わり方の印象が強い。2022/02/06
うののささら
71
タクシー運転手の話じゃないけどロードムービー撮る話。穏やかに滅ぶ世界の哲学的な映画。虚構の世界は現実の中にある。現実の日常は複雑に入り組んだ奇跡的な一回の連続。記憶の井戸に入り混んでしまうと思い出すたびに事実から遠のいてしまう。思い出してることが自分がつくったもので過去とは忘れるもの。純文学ってこんな感じか。学生が語り合いそうな話で面白かったです。2022/04/16
ヘラジカ
61
『ナイト・オン・ザ・プラネット』の影響を受けていることを示唆されているだけあって、突発的でとりとめのない会話が随所に挟まれる、揺蕩うような雰囲気を持った小説。大のジャームッシュ好きとしては楽しまずにはいられない。観念的で感覚の絶対性を揺るがすような話題には奇妙な親近感があり、友人同士の”駄弁り”を傍で聞いているように錯覚してしまうことも。独特な言い回しをする冗漫でモノトーンな文章表現にも、慣れてくると不思議な臨場感を感じた。他のジャームッシュ作品で言うと初期三部作や『コーヒー&シガレッツ』も思い出す。2022/01/03
tenori
52
ロードムービーのような不思議なタッチの小説。映像を文章化したような印象で斬新さを感じました。映画研究会に属する学生が「この世の終わり」を映像にするべく鳥取砂丘を目指す短い旅の過程。既に現世から去ってしまった人を引き合いにだしながら、生きていることの意味を考え、ぶつけあうような中身。作者自身が自然な感じで物語の一端を担っているのも面白い。会話が主体になっているのですが、それが哲学的にすぎる感があって好き嫌い(評価)はわかれそう。日常を描きながら非日常的な印象を受ける不思議さ。でも個人的にはちょっと苦手。2022/06/01