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出版社内容情報
ゼロ年代を彩る傑作にしてデビュー作! 戦慄の19歳こと佐藤友哉の“鏡家サーガ”のすべてはここから始まった! 解説・斜線堂有紀
内容説明
妹が死んだ。自殺だった、と僕のイカれた家族は云うが。そして現れた男。手にはビデオ。内容は妹のレイプ中継。渡されたのはレイプ魔どもの愛娘達の克明すぎる行動表。こうされちゃあ、する事は一つ。これが自然な思考だね。そして僕は、少女達の捕獲を開始した。その果てに…、私は病気。でも誰にも相談できない。絶対に云えないよ。七十七人の少女を屠った連続殺人犯、突き刺しジャック。彼が少女を殺す時…彼の視覚が私の視覚に接続するの。怖いよ。もう駄目。しかも彼は、私の存在を知っている。そして私は、彼に立ち向かってしまった。その向こう側に、こんな馬鹿げた世界が用意されているなんて知りもせず。ゼロ年代きっての“鏡家サーガ”がいま蘇る…!
著者等紹介
佐藤友哉[サトウユウヤ]
小説家。1980年生まれ。2001年に『フリッカー式―鏡公彦にうってつけの殺人』(講談社ノベルス)で第21回メフィスト賞を受賞しデビューする。2007年『1000の小説とバックベアード』(新潮社)で三島由紀夫賞を受賞。近年では純文学をメインフィールドとして活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
結城綾
14
第二十一回メフィスト賞受賞作。西尾維新・舞城王太郎・北山猛邦らゼロ年代を代表する作家の一人、佐藤友哉。以前から気になっていた作家であったため、これを機に読了。伏線と叙述トリックは見事な手さばきで、卓越した文章力が窺える。序盤からきっちりとゼロ年代特有の空気が敷き詰められていて、悲惨と陰湿を融合させた救いようのない展開。タイトルも偶然と運命で編み出された奇跡の産物。常人に書ける代物じゃなく、オリジナリティに満ちあふれた作品となっている。珍しく解説が必見レベルなので、読了後にぜひ読んでみて欲しい。2024/10/09
ほたる
13
復刊で再読。なぜか読んでるときはスラスラいけてしまうし、読み終わってみればめちゃくちゃなことをやってるとしか思えないが、それでもこの鏡家にまた会いたいと思ってしまう。斜線堂有紀先生の解説もまた、頷けるところばかり。「お兄ちゃん」2021/11/28
芙蓉
12
ゼロ年代メフィスト賞出身作家に飲み込まれた青春だった。戯言シリーズ西尾維新。JDCシリーズ清涼院流水。薬屋探偵妖奇譚シリーズ高里椎奈などで性癖を拗らせた。しかし佐藤友哉の鏡家サーガは実は初読である。ノベルスの頃に読んでみようとはしたがうまく合わずに未読だった。そしてそれから時は流れて今の推し作家である斜線堂有紀さんが推しに推していて復刊するというので今回読んでみた。ああこれは未熟な自我の時に読んでいたら所かまわず歪んで成長するやつ!!家族の兄妹すべてが壊れている鏡家。最愛の妹を失った公彦が選んだ末路とは―2021/12/28
らきむぼん
11
10代で読んでいたら影響を受けただろうなと思う作品だった。 ミステリだが、ジャンルの垣根を超えてSFや文学のような一面もある。解かせるミステリよりも気づかせるそれで、あとから特定の描写の意味に思い至るという理想的な語りが魅力的。 主人公の言動には共感性は低いが、語りの文体はリズムさえ合えば軽快でどこか洒落た雰囲気がある。読まされていくうちに、主人公の置かれた状況や思考、結末に対しての解像度が上がっていく。美しくも思える物語の閉じ方は一人称文体を通して主観と客観が揺さぶられたからこそのものなのかもしれない。2022/07/30
いりあ
9
佐藤友哉が2001年に発表したデビュー作。鏡家サーガの1作目で、第21回メフィスト賞を受賞。シスコンの鏡公彦は妹の佐奈が強姦され、自殺したと聞き、犯人たちへの復讐を企てるが…。一時期、メフィスト賞周辺の作品を追いかけていた時期があり、本作も当時読みました。久しぶりでしたが、やっぱりクラクラするほど強烈な作品でした。なんでもありだったな。当時のサブカル事情を知らない今の読者に伝わらないネタがちらほらあり、もう20年経った事を再認識。内容云々ではなく、作者と周波数が合わないと面白いと感じられない可能性が高い。2024/02/17
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