出版社内容情報
争いごとは世の常、人の常。江戸の世でその争いの相談を受けるのが恵比寿屋のような公事宿だ。
今日も、恵比寿屋に自分の兄が見知らぬ男に金を返せと訴えられていると、若い男が相談に来た。
その訴えを聞いた、主の喜兵衛は怪しいにおいを感じとる。事件の真相は如何に?
江戸の街に生きる市井の人々を、愛情込めて描く長編時代小説。第110回直木賞受賞作。
内容説明
訴訟の相談を受ける公事宿・恵比寿屋の主人・喜兵衛のもとに越後から若者が訪ねてくる。その兄が心当たりのない金の返却を訴えられている事情を聞いた喜兵衛は、一筋縄ではいかないと見込む。ある夜、喜兵衛が浪人に襲われる。扱う公事がらみなのか、別の理由からか。味わい深い不朽の時代小説。第110回直木賞受賞作。
著者等紹介
佐藤雅美[サトウマサヨシ]
1941年1月兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒。’85年『大君の通貨』で第4回新田次郎文学賞、’94年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第110回直木賞を受賞する。2019年7月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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goro@the_booby
41
佐藤雅美2冊目だけどもっと早く読めばよかった。最後まで一気読みの面白さでありました。公事宿とよばれる訴訟事務を請け負う宿に助けを求める在の者の事件が様々な思惑の中で展開する手腕はお見事です。シリーズものになるのかと思ったんだけどね。本当に惜しい。その後の物語が気になって仕方がない。あいつをギャフンと言わせたいわ。直木賞受賞作なので私が言わなくてもいいけど、強くお勧めです!2025/03/04
kakkun 007
1
江戸時代の裁判用語が説明もなく出てくるので、とっつきくかったが、それなり勉強になる。話は重層的につながっており、正義一辺倒でもない主人公に共感できる。終わり方も余韻を感じて良かった。2024/01/30