出版社内容情報
ある医療事故をきっかけに都心の大病院を飛び出した女医・菜々子は、兄が経営する東京近郊の個人病院で働き始める。それから間もなく、中学時代の同級生に誘われ地元の市民会館で、ステージに立つ出演者たちの医療サポートを請け負うことになってしまう……。
──命を削ってでも市民会館の舞台に立とうとする患者たちは、末期癌であったり、白血病であったり、歩行困難者であったりとさまざま。現役の医者が身近な設定で、現代の超高齢社会と高度医療のありようを直視する連作短編集。
内容説明
患者の自殺に責任を感じて都心の大病院を辞めた女性医師・菜々子は、東京郊外の個人病院に籍を置き、地元市民会館のステージで医療サポートを請け負うことになった。さまざまな病気を抱える出演者たちを支える熱い姿が心に沁みる感動の連作短編集。
著者等紹介
南杏子[ミナミキョウコ]
1961年、徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入。卒業後、慶応大学病院老年内科などで勤務したのち、スイスへ転居。スイス医療福祉互助会顧問医などを務める。帰国後、都内の高齢者病院に内科医として勤務。『サイレント・ブレス』(『サイレント・ブレス 看取りのカルテ』に改題)がデビュー作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
101
患者を励ますつもりでかけた「絶対」という言葉をきっかけとして患者が自殺したことで医師菜々子は都心の大病院を辞め東京西部の兄が営む個人病院に移る。そこで市民会館のステージで医療サポートをすることになった菜々子の6話の連作短編集。持病を持ちながらも舞台に立ちたいという人々と、なんとか成就してあげたいと奮闘する菜々子先生。やり過ぎ感もあるけどそのひたむきな姿は応援できる。確かに医者、医療に「絶対」ということはないのかもしれない。だがその言葉にすがりつきたい、希望を手にする患者もいる。2023/05/23
kei302
63
単行本『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』改題、うん、こちらのほうが良い。最終話の第九の話、高校生のときソプラノもアルトも歌ったことがあるので興味深く読む。ソプラノのパートはこの歳では多分無理。 合唱団の高齢化問題、すごくよく分かるし。年を重ねても歌い続けたいなあ。そのためには、日頃の鍛錬(!)が必要。 命とか死とかがテーマだと思って読み始めたけど、好きなことに打ち込む前向きな人たちに勇気をもらった。NetGalleyJP 2021/09/16
紫綺
59
単行本「ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間」を改題。女性医師・菜々子が、市民会館のステージに立つ患者をサポートする連作短編集。患者の望みを可能な限り叶えるための創意工夫が面白い!2023/06/01
はつばあば
58
医者から絶対治る!なんて言われたらその気にもなりますし、その言葉を信じて頑張りますわなぁ。それでいいんじゃないでしょうか。ヤブと思っている医者からそんなこと言われたら信じませんけどね。それと実際の話大きな病院で装具を誂えたら私に合う靴が出来ると思うじゃないですか?しかもチタンで作ります!。そんな甘い言葉をかけられたら5年もお世話になっている装具屋さを振った私がアホなんですが( ノД`)。医者と業者仲良しさんて患者の入る隙はありません。36位の技工士が鼻高々で自分の好みで作った装具なんて私に合うはずがない。2023/06/07
ワレモコウ
46
患者の自殺に責任を感じ、都心の病院から、地元の兄の経営する個人病院に移った菜々子の成長物語。同級生の依頼によって市民会館のステージドクターとなり、みんなの健康のサポートをすることとなる。6話からなる連作短編集。医師が言ってはいけない「絶対」という言葉。それが梨花の自殺の要因かもしれないと悩む菜々子と、梨花の母親との確執。これは必要だったのかな…ちょっと、その母親に対する菜々子の態度が無神経に思えて、そこが引っかかった。2023/07/01