出版社内容情報
真下 みこと[マシタ ミコト]
著・文・その他
内容説明
就活面接でうまく話せず、彼氏とも疎遠な日々に思い詰める皐月、寂しさを埋めるため、急に人と会いたくなる衝動を抑えきれない愛衣、自分の経験を切り売りして曲を作り、シンガーとして活動する文、大切な友達に言えない秘密を抱えながら過ごす智子―誰かに理解してほしい葛藤をひとりで抱える、“大人未満”の4人の物語。
著者等紹介
真下みこと[マシタミコト]
1997年埼玉県生まれ。2019年『#柚莉愛とかくれんぼ』で第61回メフィスト賞を受賞し、2020年デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美紀ちゃん
100
連作短編集。 就活が大変で読んでいて辛くなった。 「月は、どっちから欠けていくか知ってる?」 突然の質問でわからないけど 「右からだよ」って即答されるとカッコいい!知的!って思ってしまう。 友達と呼べるのか?知り合いという方がしっくりするような? というモヤモヤ。友達がいないモヤモヤ。 被害妄想が強いと言われ納得してしまう自分。 一歩踏み出せるといいなと思う。2022/08/23
ででんでん
76
真下さんは、気になっている作家さんなので、若者の物語か、ふむふむ…と読んでみた。それぞれにひりひりとしたものを抱えた彼女たち。自分が捉えている自分と、周囲から見えている自分との乖離にもがく。文の章「手紙」がいちばん好きだった。自分の音楽をつくっていく過程がすてきだったなあ。登場人物たちがそれぞれにかかわる男の子たちも気になっていたので、男の子サイドから描かれた青羽さんの作品があると知って興味津々。読んでみよう😊「聴く小説」「読む音楽」というコンセプトもとてもいいなあ。You Tubeものぞいてみよう。2022/08/08
いたろう
75
直接、間接で繋がる4人の女子大生を主人公にした5編の連作短編集。なかなか内定が出ない就活中の皐月、その1つ年下の妹で、youtubeで注目され、大学入学後にCDデビューした文、中学の時からリストカット癖があり、今はマッチングアプリで男性に会っている愛衣、そして、愛衣の大学の友人の智子。いずれも、何かしら悩みを抱えているが、それぞれラストで、ちょっと前向きになるところがいい。前作「あさひは失敗しない」は、主人公に共感ができず、モヤモヤしたまま終わってしまったが、本作は、必ずしも共感できなくても理解はできる。2022/10/29
ぶんこ
55
皐月、文、愛衣、智子の4人の大学生が主人公で、就活がうまくいかずに電車へ飛び込み自殺をしそうになった皐月。両親から愛されずに育ったことから自分を愛せない愛衣。シンガーソングライターで人付き合いが苦手な文。愛衣が好きだからこそ、愛衣のカレと関係を持っては別れさせる智子。最後に就活でガチガチになっていた皐月でしたが、祐樹のアドバイスで心を開き始めました。正直どの主人公にも共感できなかったものの、渦中にいると広い目で周りや自分を見つめることは難しいなと切ない。皐月さんに祐樹さんがいてよかった。2022/08/07
えりこんぐ
51
『青く滲んだ月の行方』に出てきた女の子バージョン。読友さんの言う通り、こちらの方が面白かった。女の子たちみんな、バックグラウンドや葛藤が丁寧に描かれていて、苦しさが真っ直ぐ伝わってきた。彼女たちが少し前に進めたら、読んでるこちらまでホッと安心。真下みことさんはお初だけど相性が良いのかな。他の作品も読もう! 【図書館】2023/01/24