スタジオジブリの想像力―地平線とは何か

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スタジオジブリの想像力―地平線とは何か

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  • サイズ 46判/ページ数 386p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784065241325
  • NDC分類 778.77
  • Cコード C0074

出版社内容情報

……アニメーションの魅力を全面的に開化させたのが、高畑勲さん、宮崎駿さん(以下敬称略)といった人々によって担われたスタジオジブリの作品群であったと、私は考えています。高畑や宮崎といった作り手の仕事の素晴らしさについて私はこれからお話ししたいと思っているわけですが、そのためにはまずアニメーションそのものの魅力について語る必要があります。
(中略)
 ルネサンス絵画の本質はアニメだということです。
 ボッティチェリの『春』でも『ヴィーナスの誕生』でもいい。たくさんあるラファエロの聖母子像でも『アテネの学堂』でもいい。登場人物はすべて動き出そうとしている。静止画でさえ、いまにも瞬きしようとしている。これはもう、ルネサンス絵画の本質というよりは西洋絵画の本質で、ボッティチェリだろうがラファエロだろうが、レオナルドだろうがミケランジェロだろうが、さらには時代下ってカラヴァッジョだろうが、あるいはレンブラントだろうがフェルメールだろうが、すべてそうです。
 ということは、彼らの絵をもとにしてアニメが作れるように出来ているということです。原画もキャラクターも台本も全部そろっている。ボッティチェリ作画、高畑勲監督『春』なんてことがありえたということです。それこそが、イタリア・ルネサンスの魅力の核心であると考えたほうが、よほど分かりが早い。実際、コマーシャル・フィルムなどで、そういうことを試みている例ーーたとえば優しくウィンクする『モナ・リザ』ーーが少なくないわけですが、コンピュータ・グラフィクスの驚異的な発展がこれからどんなことを可能にするか、空恐ろしいほどです。ルネサンス絵画のすべてが動き出すことになるかもしれないわけですから。
(中略)
 ……その眼で眺め直してみると、ゴンブリッチが援用したジェームズ・J・ギブソンの知覚論や、ルドルフ・アルンハイムの視覚論、エルンスト・クリスのカリカチュア論を含む精神分析的美術論などが、アニメーション探究に役立たないはずがありません。漫画論ーーとりわけ少女漫画論、劇画論ーーについてはもちろんのことです。
 西洋ルネサンスとアニメ・ルネサンスを雁行する視覚芸術史上の事件として眺めるというこの考え方は、さらにいろいろ興味深い示唆を含みます。たとえば前者においてはキリスト教が占めた位置を後者においてはエコロジー(生態学)信仰が占めています。終末論として似ているのです。
 高畑の作品も宮崎の作品も、大略、このような視点から眺められなければならないと私は思っていますが、しかしそれだけではもちろんありません。
(第一章「絵より先にアニメがあった」より抜萃)

内容説明

西洋ルネサンス絵画と日本アニメは視覚芸術における空前の事件である!なぜ宮崎駿の作中人物は空を飛び、火と接吻するのか?スタジオジブリを人類史のなかに位置づける、壮大にして野心的な試み。『熱風』の連載、待望の書籍化!

目次

第1章 絵より先にアニメがあった
第2章 なぜ宮崎アニメでは空を飛ぶのか
第3章 飛翔する力がジブリを創った
第4章 地平線という主人公―ギブソンと宮崎駿
第5章 恋愛の地平線―「天空の城ラピュタ」
第6章 地平線と火の接吻の物語―「ハウルの動く城」
第7章 内面空間としての地平線―「千と千尋の神隠し」
第8章 地平線の比較文学―フォード・黒澤・宮崎駿

著者等紹介

三浦雅士[ミウラマサシ]
1946年生まれ。1970年代、「ユリイカ」「現代思想」編集長として活動。1980年代に評論家に転じ、文学、芸術を中心に執筆活動を展開。その間、舞踊への関心を深め、1990年代には「ダンスマガジン」編集長となり、94年からは別冊として思想誌「大航海」を創刊。2010年、紫綬褒章を受章。12年、恩賜賞・日本芸術院賞を受賞。著書に『メランコリーの水脈』(サントリー学芸賞受賞)、『小説という植民地』(藤村記念歴程賞受賞)、『身体の零度』(読売文学賞受賞)、『青春の終焉』(伊藤整文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

62
スタジオジブリが制作したアニメには、すべての人間の五感に訴えかける表現力がある。それはなぜなのかと昔から考えていたが、本書を読んでかなりの部分が腑に落ちた。言語化できなかった感覚をことばにしてくださっている。評論としては決して易しい本ではないが、です・ます調がかなり印象を和らげている。ジブリファンはぜひご一読を。2021/10/27

11
「地平線」というモチーフに注目して宮崎駿の(そして高畑勲の)作品の持つ拡がりについて論じた一冊。ゴンブリッチを引きながら、(「動きを思わせる自然的再現」であるギリシア美術を規範とした)ルネサンスの美術の本質をアニメーションに接続した第一章から、著者の論述はまさしく自由闊達。 任意の点から世界を眺めることができる遠近法の発明は、人間の自由な飛翔を結果として導き出す。飛翔とは想像力のことであり、それを説明する著者の文章自体が想像力の赴くままに飛翔していくかの様であるところが面白い。2021/11/28

takao

3
ふむ2023/01/23

とろりんとう

2
一度も宮崎駿と高畑勲に会ったことが無い評論家が2人を絶賛しつつ、小難しい哲学論が続く。哲学的な話が大部分を占め、宮崎アニメの中身や物語の詳細な考察は少ない。2人に会って聞いた訳では無いので、あくまでも作者の推論。題名と装丁に騙された感あり。途中作品の内容に切り込んだ部分もあったが。全体的な状況は変わらず、後半は流し読み。2022/03/30

skr-shower

2
ジブリ、あまり好きではないのになぜ借りた…読みやすい論評ではない。2021/11/18

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