出版社内容情報
菊池 秀明[キクチ ヒデアキ]
著・文・その他
内容説明
一八五〇年、南の辺境に蜂起した太平天国は、孫文の革命運動、蒋介石の北伐、毛沢東の長征へと続く激動の幕開けだった。二度のアヘン戦争と日清戦争の敗北が招いた亡国の危機。辛亥革命で退位した清朝皇帝・溥儀は、流転の果てに満洲国の帝位につく。一九三六年、覇権を争う国民党と共産党は、張学良が起こした西安事変で手を握り、抗日戦争へ向かう。
目次
南からの風―辺境からの中華再生の試み
「南からの風」吹く―太平天国運動と列強
ゆらぐ中華の世界―洋務運動と日清戦争
ナショナリズムの誕生―戊戌変法と義和団
清帝国のたそがれ―ラストエンペラーと辛亥革命
「民の国」の試練―袁世凱政権と日本
若者たちの季節―五・四運動とマルクス主義
革命いまだ成らず―第一次国共合作と北伐
内憂と外患のなかで―南京国民政府と満洲事変
抗日の長城を築かん―満洲国と長征・西安事変
辺境の街と人々―香港・台湾そして上海
著者等紹介
菊池秀明[キクチヒデアキ]
1961年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東京大学大学院修了。文学博士。中部大学国際関係学部講師・助教授を経て、国際基督教大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tomoichi
20
子供の頃の昭和史本には「三光作戦」というデマが普通に書かれていたが今時共産党ぐらいしか使わなくなったこの言葉が本書には日本軍の蛮行として語られる。本書の時代の日本政府の対支那政策や日本陸軍の行動を肯定するつもりはないが、清末から中華民国の成立・混乱期を読みたいのであって著者のイデオロギーや政治的主張や思惑に興味ない。残念な一冊。2022/12/12
ジュン
9
夏目漱石が悩み、堀田善衛が呆れかえった日本の近代とは何かと考えてきたが、隣の国も凄惨で声がでない。「近代(modern)」については発展というイメージが日本には多少あるが、中国の「近代(ジンダイ)」には屈辱と地獄しかない。「…異文化としての充分な認識を欠いたまま中国社会のある部分を理想化し、その夢が破れた時に中国そのものに拒絶反応を示してしまう、近代日本の知識人に共通する問題点があったと言えるだろう」(p278)。しかし、再生の風は南から吹いたのだ。2022/02/21
さとうしん
9
太平天国から西安事変まで。軍事優先、独裁体制、党国体制など、現代中国の政治、政府のあり方として問題視される要素が、共産党政府独自の問題というよりも、孫文、蔣介石の姿勢を継承したものであるという歴史的背景、歴史的展開を随所で示している。なお、本書のタイトルにもなっているラストンペラーよりは魯迅の方が印象が強いし、本書においては重要な役割を果たしている。2021/04/19
とむぐりーん
2
中国人の登場人物の数が多く、また魯迅や孫文、蒋介石などの物語も詳しく散りばめられている。清国から中華民国への展開には、日本も大きく関与しており、時系列的にどういうことが起きたか、概要を理解するには、あまりにも事実が多く発生しており、全容の把握は 別途、必要な文献の併読が必要だと思う。2023/10/07
Kazuya Nakagawa
2
張学良の株が上がった。こんな人だとは知らなかった。しかし、まぁ日本のクソっぷりには辟易する。クソなだけではなく阿呆でもある。イギリスはクソやけどアホではなかったと思うな。2022/07/17