内容説明
クラスの中でうまくやっていけない雅也は、中1の夏休みを利用して、養蜂場を営むおじさんのいる北海道へ行くことに。寝泊まりすることになった「北の太陽」では、さまざまな事情を抱えた子どもたちが暮らしていた。養蜂の手伝いや、イカめしコンテストへの出場など、北海道での体験をつうじて、雅也の心に変化が起こる。
著者等紹介
村上しいこ[ムラカミシイコ]
三重県生まれ。『かめきちのおまかせ自由研究』で第37回日本児童文学者協会新人賞を、『れいぞうこのなつやすみ』で第17回ひろすけ童話賞を、『うたうとは小さないのちひろいあげ』で第53回野間児童文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
88
YA。認知のクセが強め男子の話。中学1年生の雅也は、夏休みにおじの養蜂場を訪れる。雅也は思ったことをそのまま口に出してしまい他人と上手くいかなかったり、こだわりが強くて協調性が無いと言われている。滞在することになった「北の太陽」は事情を抱えた子ども達の住む施設だった▽『みつばちマーヤの冒険』の名言を交えながら「普通」とは何かを考える。人と誠実に向き合う大切さとか、難しさとかが真正面に描かれていてとても良本。前向きになれる。「もう希望しかないね!」2022/04/02
ネギっ子gen
81
【推奨します!】琴線に触れることがたくさんあったにしても、情緒不安定になっているのだろうか……。本作で頻出する、食前の祈りの言葉であり、『みつばちマーヤの冒険』に出てくる言葉【愛する神さまは、わたしたちをお守りくださるだろう、わたしはなにも悪いことはたくらんでいないのだから】に、思わず号泣してしまった……。歳かなぁ……。発達障害児の雅也は、中1の夏休みに、養蜂業のおじさんのいる北海道へ行くことに。雅也が寝泊まりするファミリーホーム「北の太陽」では、年齢の違う5人の子どもたちがいた。結局、その後も落涙……⇒2022/04/17
はる
74
爽やかな読後感。他人と上手くやりとりが出来ず、トラブルになってしまう中1の雅也。叔父の勧めで北海道の児童養護施設で暮らすことになる。そこには様々な理由で親と離れて暮らす子供たちがいた…。彼らと触れ合いながら次第に成長していく雅也。子供同士のやりとりの場面、繊細な感情描写がいい。それぞれが悲しみを抱えながら、必死に生きていく子供たち。交わす言葉以上の想いが切ない。みつばちマーヤが重要なアイテムとして登場するけれど、私はアニメしか見てないからなぁ…。2021/08/26
けんとまん1007
62
自分自身を抑えれないことは、よくあること…と思う。自分自身が、そうだからでもある。ただ、そこで、時間を少しだけ置いてみる、一時保留にするなどはやっている。ただ、それでも、自分の中で葛藤はある。後から・・・と、思うこともありがち。それでも、それを投げかけることができると、随分と違う。その積み重ねだと思う。投げかけることは、受け取ることにもつながる。その逆もまた真なり。そうすることで、ゆっくりとではあるが、変わりうる。2023/07/15
瑪瑙(サードニックス)
49
発達障害を疑われている少年雅也。養蜂家のおじさんの所へ一人で泊まりに行く事になった。ところがおじさんの所では泊まれなくなり、北の太陽という家に預けられる。そこは身寄りのない子供など訳アリの子供たちが暮らしている家だった。発達障害は難しい。本人も分かってもらえない苦しさがあり、周囲も理解できないとまどいがある。作中でも雅也の言動にヒヤヒヤした。でも北の太陽の家で暮らすうちにだんだん成長していく様子が見えて良かった。少なくとも心を通い合わせることができる友達が出来て良かった。普通に生きるってどういう事だろう?2021/07/12