内容説明
カーバ神殿を擁する巡礼地・メッカ。七世紀初頭、アラビア半島の灼熱の岩肌に囲まれた名もなき地が、なぜ都市に発展し、世界の“聖地”となったのか。ムハンマドの生涯や、『コーラン』はじめ文化、風習、儀礼など、ムスリム知識人が守ってきた伝承“ハディース”から、多角的に考察。西欧的学問の思考からは見落とされてきた、イスラーム精神の本質に迫る。
目次
序章
1 前史
2 系図と部族
3 メッカのはじまり
4 メッカの発展
5 メッカの社会
6 メッカとイスラーム
著者等紹介
後藤明[ゴトウアキラ]
1941年、東京都生まれ。1967年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。山形大学教授、東京大学東洋文化研究所教授、東洋大学文学部教授を経て、東京大学名誉教授。専攻は初期イスラーム史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Susumu Kobayashi
7
「われわれは、日本にオペラのための国立劇場をつくろうとしている。オペラ劇場ぐらいないと先進国としてはずかしい、という常識がこの計画をささえている。オペラは世界的な芸術なのだ。しかし、筆者などはこれを不思議なこととおもう。なぜ日本に、西欧の伝統芸能のための国立劇場が必要なのだろうか、と。イギリスやフランスに日本の歌舞伎のための劇場やインド舞踊のための劇場はないのに」(p. 18)。ごもっとも。それにしても、メッカやメディナの人たち緩すぎ。現代のイスラーム教徒とはなんと隔絶していることか。2021/08/23
Masayuki Shimura
4
【イスラームは、多くのものをイスラーム以前のメッカ社会、そしてより広くアラビア世界に負っている】(文中より引用)・・・・・一つの「都市史」として興味深いだけでなく、メッカに関するあまり知られていないトリビアも豊富に盛り込まれた良作。初版は30年近く前に出版されているとのことですが、古さを感じさせない内容に目を見張るものがありました。2021/08/12
中島直人
2
(図書館)読了。インパクトはないが面白い。2024/11/02
Go Extreme
2
西欧的知の枠組 多様化する世界 「常識」をこえるイスラーム イスラーム的知の枠組 オリエンタリズムの克服 前史:メッカの歴史地理 ソロモンとシバの女王 紀元前後のアラビアの歴史 一神教革命 系図と部族:父系の系図 部族の概念 氏族の系図 マワーリー ハリーフ 個人の社会 メッカのはじまり:カーバ神殿 アブラハムとメッカ メッカの発展:牧民社会メッカ 集団意識の実態 イーラーフの制度 フムスの概念 メッカの社会:ムハンマドの生涯 平等な人間関係 メッカの商人 アラビア文字の文書 メッカとイスラーム:自由都市2021/05/16