出版社内容情報
潮谷 験［シオタニ ケン］
著・文・その他
内容説明
大学構内で、「純粋な悪」の存在を証明する実験のアルバイトが持ちかけられた。参加した学生達のスマホには、幸せな家族を破滅させるスイッチがインストールされる。押しても押さなくても１ヵ月後には１００万円を超える報酬が手に入り、押すメリットはない。誰もが「押すわけがない」と思っていた、しかし…。第６３回メフィスト賞受賞！！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
431
久しぶりに手に取るメフィスト賞作品。相変わらず"らしい"本を世に送り出しているようで安心した。第六十三回受賞作となる今作は、基本設定でメフィストらしい斬新さを打ち出しつつも、人物の思考の推移や、事件解明の手順が理知整然としており、奇抜さ頼みに終わらない懐の深さを感じさせるものとなっている。モラトリアム期の大学生を中核としたストーリーで、青春要素も多分に含まれているが、著者は実は私と同年代のようで、それも良い方向で反映されて、変に浮わつきすぎないのかもしれない。今後、どういった作風を展開するのか楽しみ。2021/05/02
starbro
324
第63回メフィスト賞受賞ということで読みました。本書がデビュー作ということですが、設定が面白く、一気読みしました。少し冗長でサプライズがあまりなかったのが残念ですが、次回作に期待したいと思います。 https://tree-novel.com/works/59f3f23e9003dba74763277e28414d4b.html2021/05/05
とん大西
153
「スイッチを押すと彼らが破綻します」－小雪ら6人に与えられた生殺与奪の権。平凡なパン屋に心理コンサルタント・安楽が行い続ける融資。押せば打ちきり押さねば続行。小雪らの悪意と善意と気紛れに委ねられた1カ月。高額報酬と引き換えに彼女らをおそう疑心暗鬼と葛藤。さて、人の心を弄ぶこの悪趣味な実験の真の意図は？…と、いうような展開が延々続くかと思いきや…。唐突な転調から物語は一気に正真正銘のミステリーよろしく真相の真相へと突き進む。上手い展開に呆気なく騙されましたゎ(^^)。粗削りでしたが次も楽しみな作家さんです。2021/05/26
みっちゃん
151
全く自分に関係のない人たちを｢不幸にする｣そんなスイッチを押してしまう、なんて事をしちゃうものか、人間は。人の｢悪意｣を試す実験。｢押されてしまった｣事によって起きてしまう殺人事件。誰がそんなことを？謎解きの部分は｢ひとの心｣の不可解さ、奥深さを感じさせて面白かったが、宗教に関する思索や議論にはどうにもついていけず…歯がゆさが残ってしまった。2021/07/18
cinos
138
メフィスト賞作品。「純粋な悪」の存在を実験するために集められた大学生のアルバイトたち。スイッチを押すことによってある家族が破滅する。酔っ払いの香川先輩がいい味出していました。ボタンを押した人物の特定についてはとてもシンプルでよかったです。2021/05/16
