出版社内容情報
辛島 デイヴィッド[カラシマ デイヴィッド]
著・文・その他
内容説明
著名な賞の受賞、ベストセラー…、日本の現代文学が、いま英語圏で注目されているのはなぜか?アメリカ、イギリスの翻訳家、編集者、フェス運営者、デザイナーなど、本づくり&文芸に関わる人々=文芸ピープルを取材し、その声と仕事を伝えるルポ・エッセー!
目次
1章 英語圏の新世代の翻訳家たちに聞く(注目を集める日本の女性作家たち;ここ数年の変化 ほか)
2章 新しい「日本文学」を編む編集者たち1―『コンビニ人間』が英語圏の読者に届くまで(一世代に3人から一ヵ月で3人が訳される時代;老舗グローヴ・プレスの目利き編集者 ほか)
3章 新しい「日本文学」を編む編集者たち2―日本語の原体験と編集の仕事(コロナ禍の東京で;独立系出版社ニュー・ディレクションズ ほか)
終章 変化の年(柳美里『JR上野駅公園口』の全米図書賞受賞;翻訳家が運営する小さな出版社ティルティッド・アクシス・プレス ほか)
著者等紹介
辛島デイヴィッド[カラシマデイヴィッド]
1979年東京都生まれ。作家・翻訳家。現在、早稲田大学国際教養学部准教授。日本文学の英訳や国際的な出版・文芸交流プロジェクトに幅広く携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
95
とても刺激的な本。英語圏で日本の女性作家が注目を集めている。全米図書賞の翻訳文学部門で2020年11月柳美里「JR上野駅公園口」が受賞したのは記憶に新しいが、2018年多和田葉子「献灯使」の受賞、2019年小川洋子「密やかな結晶」と3年連続のノミネート。イギリスで村田沙耶香「コンビニ人間」のベストセラー、川上弘美「センセイの鞄」が7万部のロングセラーなど2020年は世界における日本文学の軌跡でターニングポイントになるのではと著者は指摘。伊坂幸太郎「マリアビートル」がブラピ主演で映画化など有益な情報多かった2021/05/09
パトラッシュ
65
読書家が憧れる職業は、本を書くか作るかだ。どちらも「好き」を仕事にしているが、特に海外文学出版に関わる人は時代が求める作家と作品を見つける鑑識眼と、読まれるための翻訳から本作りまで工夫する創造力を兼ね備えなければならない。日本文学の翻訳紹介に携わってきた著者が、英米の目利き編集者がいかに新しい作品を開拓してきたかを日本作家関係に絞って紹介する。すでにアフター・ムラカミを標榜する編集者は主に女性作家に新しさを見出し、どんどん紹介し文学賞受賞にまで至っているのだ。好きな仕事をする人の力は洋の東西を問わず強い。2021/06/16
チャーリブ
26
英語圏では、ここ数年日本の女性作家が注目を集めていると言う。多和田葉子『献灯使』と柳美里『JR上野駅公園口』が全米図書賞(翻訳部門)を受賞したことはよく知られているが、それ以外にも村田沙耶香、松田青子、川上弘美、小川洋子、津村記久子、今村夏子、本谷有希子、小山田浩子、恩田陸らの作家の作品が翻訳されていることを本書で知った。これらの作品に共通点を探し出すのは難しいが、ある翻訳家は「それぞれ社会的慣習に疑問を投じている」と指摘している。なるほど。名前が挙がった作品を少し読んでみようかな。○2021/12/27
Roko
26
最近英語に翻訳されている本の作家のほとんどが女性なのだそうです。彼女たちの作品は、これまでに読んだことがない新鮮な物語だと評価されているのです。「芥川賞」が海外の出版者のなかで高い評価につながっているというのにはビックリしました。原文のイメージを壊さないように翻訳する努力や、読者に手に取ってもらいやすくするためのタイトル付、表紙デザインなども興味深いです。同じ本でも英国版と米国版では表紙や単語の使い方が違うというあたり、細やかな気遣いが本作りに生かされているところも面白いです。#NetGalleyJP2021/03/30
羽
25
英米で日本文学ブームがきている。最近では、村田沙耶香、柳美里、多和田葉子、川上弘美、川上未映子、小川洋子、津村記久子、松田青子、小山田浩子など、女性作家の作品が注目を集めている。 本書では、作家、書店員、文芸フェスの運営者、英語圏の新世代の翻訳家や新しい「日本文学」を編む編集者など、国内外のさまざまな「文芸ピープル」の活躍を知れた。また、2022年にブラピ主演でハリウッド映画化される“Bullet Train”(原題は『マリアビートル』)の著者の伊坂幸太郎作品も、今後、多数翻訳されるそうだ。楽しみすぎる!2021/11/01