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内容説明
百合同人漫画の執筆に没頭する有希は、サークル「ゆゆゆり」の相方・由香に「好き」という言葉を伝えられずにいた。即売会で初めて出会った時、由香の傍らには彼氏がいた。やがて彼氏とは別れたけれど、由香がなぜ百合を描くのか、この気持ちを打ち明けても彼女は突き放さないでくれるのか、有希にはわからないままだった。レズビアンの有希とヘテロセクシュアルの由香。有希がその想いを隠すことで成立した、脆い関係の行き先は―
著者等紹介
宮田眞砂[ミヤタマサゴ]
2020年に第2回百合文芸小説コンテストに投稿した「天体の回転について」がpixiv賞を受賞。pixivに投稿していた同名の作品を改稿した『夢の国から目覚めても』が、デビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
46
電子書籍にて読了。汝よ、何故百合を描く。同人百合を描く女性が抱く同性への恋心、成就、リアルの仕事生活を交えて描かれる愛と鬱屈。メディアの宣伝のためにあちらに都合のいい形に変えていくのにうわぁ、となったり、愛ゆえの不安が色濃くなっていくのに落ち込むけど、それゆえに後半に惹き込まれる。尊いだけじゃいられない。百合というジャンルは、自分にとってなんなのか?それすらも悩みを通じて自分にも問われる作品。それでもやっぱりわたし、百合が好きです。2024/08/14
いりあ
11
宮田眞砂が2021年に発表した長編小説。百合同人漫画サークル「ゆゆゆり」の有希と由香を中心にした百合小説です。前半は有希と由香を中心に同人仲間たちとの日常が細やかな心理描写によって瑞々しく描かれています。後半は、同性カップルが直面する現実や社会の中で女性として感じる生きづらさなどが描かれます。そして、本作では「百合は誰のものか?」という問いが何度も登場します。その問いに対する様々な立場の人の答えが掲示されます。「百合」というジャンルをもう1度見直すきっかけとなる傑作だと思います。百合が好きな人は必読です。2024/08/06
ほたる
11
百合同人から始まった二人の関係性を繊細にじっくりと描き切った作品。前半と後半でタイトルが持つ意味が違ってくるのがとても素敵だった。何て感想を書いたら良いのか上手く言葉にすることができないが、ただただ心に深く文章が刻まれ圧倒されながら読んでいた。こういう物語に会いたいと思いながらいつも自分は本を読み続けている。とても素敵な作品でした。2023/06/25
若井水色
8
好きを分類しなきゃいけないってかなり辛いことだよね。分類と区分けで多分この世はできているから。ちゃんと/を入れて、生きる上で当たり前の型があるから。でもそれに合わせる必要も乗り越える必要もないのかなぁと。温かさと強さと優しさに満ち溢れた物語でした。2024/12/23
沙智
7
煌びやかな修辞の施された文章は読んでて心地良く、鋭い言葉選びのひとつひとつに惚れ惚れてしまう。途中まで有希の一人称で語られていくが、後半から由香の視点に切り替わる構成も良い。有希は由香が泣く姿を見てメルヘンな悩みしか想像してなかったけど、胸の内に秘めた由香の等身大で切実な葛藤が吐露されてこちらまで苦い気持ちになってしまった。帯の「百合小説の金字塔」という謳い文句にピッタリな素晴らしい1冊。2024/12/10