出版社内容情報
及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供二人と東京郊外の建売り住宅に住む。スーパーのパート歴1年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織り込んだ傑作。
スーパーのパート。不眠症の刑事。不良高校生。接点のなかった三人の日常が、ある事件を機に静かに急速に、転落してゆく――。
日常に潜む悪夢を描いたクライムノベルの傑作。
大藪春彦賞受賞作。
内容説明
妻を事故で亡くして以来、不眠に悩まされている刑事、九野。スーパーのレジ係として働きながら子育て中の主婦、恭子。華やかではないが平穏な二人の日常が、ある事件を機に交錯し始める―。小さなほころびがいつの間にか取り返しのつかない事態へと発展する、人生のもろさ、人の危うさを描いた著者初期の傑作!
著者等紹介
奥田英朗[オクダヒデオ]
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。第2作『最悪』がベストセラーとなる。続く『邪魔』が大藪春彦賞を受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
101
刑事九野と主婦恭子の平穏な日々がほんのささやかな綻びから 壊れていく様を描く。 恭子の夫は一体何を隠しているのか? そして 会社は何を恐れているのか? 上巻は 徐々に明らかになる綻びを描く。 下巻の展開に期待。2023/10/08
mike
90
パート勤めの恭子の夫の会社が放火され、そこに居合わせた夫は怪我を負う。妻に先立たれた刑事の九野は事件の捜査をする。平凡ないつも通りの日常がふとした切掛から綻び始め、暗雲が立ち込めていく。誰にでも起こるかもしれないその不安、恐怖が読み手にゾワゾワ伝わって来る。表題の「邪魔」。これが意味するところはまだ分からないまま。とにかくこの二人の行く末が、怖いのに気になって気になって下巻へと手を伸ばす。2023/07/27
金吾
26
まだ題名と中身がフィックスしていません。しかしそれ故に続きが楽しみです。2024/01/18
そうにゃん
24
【長期積読本11】2021年3月購入。『最悪』が面白かったことと本書新装版が平積みされていたので期待して購入した。刑事九野と主婦恭子のパートでストーリーは進む。各々にとっての「邪魔」な存在が平穏な生活を搔き乱していく。警察組織、会社組織、マスコミ、活動団体とそれぞれの論理で「個」を翻弄していく展開にハラハラさせられた。『最悪』をラジオ番組で紹介してくれたプチ鹿島氏に感謝。(上下巻読了後に記載)2023/09/14
mochiomochi
17
「邪魔」という言葉と裏腹な表紙の花。刑事の九野、パート主婦の及川恭子を中心として、オヤジ狩り、製造業支社のボヤ騒ぎ、連続放火、パートの待遇改善運動、刑事とヤクザの付き合い、不倫、会計不正、張り込み、高齢女性の独居、等々、一連の話題がまだバラバラなパーツで、上巻読了時点では、どのような帰結に至るか想像がつかない。 上巻での「邪魔」、及川恭子の「私、邪魔かしら?」発言だけかと思うが、これからどうなるのか。2024/11/19