出版社内容情報
小島 毅[コジマ ツヨシ]
著・文・その他
内容説明
九六〇年に趙匡胤が開いた宋朝は、漢や唐と異なり、軍事的には弱かったが、政治・経済・文化で東アジアをリードしていた。科挙官僚による文治主義を確立し、王安石・蘇軾ら学問や書画にも優れた政治家を輩出。それら思想文化の頂点が朱子学だった。北方からの脅威に悩まされながら、後世まで規範となる「文化の型」を生み出した三〇〇年を通観する。
目次
第1章 宋朝の誕生
第2章 宮廷の運営
第3章 動乱の世紀
第4章 江南の安定
第5章 宗教の土着化
第6章 士大夫の精神
第7章 技術の革新
第8章 文化の新潮流
第9章 庶民の生活
第10章 中華の誇り
著者等紹介
小島毅[コジマツヨシ]
1962年生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tomoichi
16
やっと宋朝までやってきた。もう今までのようなダイナミックな殺戮もなく、北宋は支那的嘘で自滅し、南宋へ中華は移る。その中で朱子学が生まれる。このあたりは政治的背景も含め詳細に語られている。また仏教も天台や密教から禅仏教に映り日本の仏教にも影響を与える。内容は面白かったけど、筆者があまり好きになれないまま読了。現在の中国につながる宋朝まで来たしこのシリーズは小休止。2022/06/04
さとうしん
13
通史とともに思想史・文化史の部分に多くの紙幅を割き、中国にとって、あるいは日本にとって宋とはどういう存在かを描き出す。士大夫の振る舞いや考え方に対しては皮肉も織り交ぜられているが、文化面全般に対してはリスペクトされている。著者の専門である思想・宗教とともに、第七章・第八章で分野ごとの文化の発展や様相についてまとめられているのがよい。2021/01/16
tokumei17794691
6
・政治・戦争よりも、宋代の思想・文化・技術・生活に重点が置かれた本。・中国史中「日本人にもっともなじみやすいのは宋代」との主張には納得。それ故に、次の点が論ぜられてなく、不満。滅んだ後も、日本人は中国(ないし外国)を「唐」と呼び続けているのは、なぜか? なぜ「宋」にならなかったのか? 現代日本人にとって唐・三国時代と比べて、宋の認知度・人気度が低いのは? なぜ宋に日本人は魅せられたのか? 日本文化は宋のパクリか否か? ・西洋崇拝反対論者は、特定の地域・時代を崇拝せず、「中立な史観」を提示できているのか? 2022/03/03
積読0415
6
思い返してみると授業において戦争の無い時代は不謹慎ながら退屈である。英雄たちがしのぎを削った戦いは頭に入るのだが、役人が必死になって作った税金の制度は頭に入らない。で、宋の時代とはその最たるものでやはり記憶がない。しかし本当は見るべき音楽や絵画といった文化面があったんだなと今更ながら思う。結局のところ授業が文化・芸術史を扱うのに作品ではなく作者と作品の思想・概念しか授業でやらないのがまずいんだろうなと思う。2021/06/14
おはぎ
3
地味、下手をする時軍事的な弱さから下に見られがちな宋がいかに現代(特に日本)に影響を与えているかよくわかった。他の巻と比較するとやや著者の好悪の観点が強い作風。2023/08/15