出版社内容情報
呉 兢[ゴ キョウ]
編集
石見 清裕[イワミ キヨヒロ]
翻訳
内容説明
唐王朝の最盛と謳われる七世紀「貞観の治」をなした皇帝・太宗。その「名君」が臣下と議論を交わし、ときに痛烈な諌言を受け入れた様を、後世の皇帝の手本として編纂した本書は、日本においても平安時代以来、「帝王学」の書として統治者たちに読まれ続けてきた。その全文を平明な文章で訳し、さらに歴史学の眼で明快に注釈・解説を加えた、決定版!
目次
君道第一
政体第二
任賢第三
求諌第四
納諌第五
直諌(附)
君臣鑒戒第六
択官第七
封建第八
太子諸王定分第九〔ほか〕
著者等紹介
石見清裕[イワミキヨヒロ]
1951年、東京生まれ。早稲田大学大学院修士課程・博士課程単位取得退学。文学博士。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専門は唐代政治史・国際関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロビン
19
「貞観の治」で知られる唐の太宗・李世民と腹心の部下たちとの議論をはじめ詔勅、臣下の上奏文も含めた全訳版。日蓮大聖人も読まれた名高い古典である。太宗が皇帝になって最初の頃は、民衆によく気を配り、臣下からの諫言を喜んで聞いていたのだが、年月を経るとともに贅沢をしたり狩猟に耽ったり、諫言を疎ましがる様子が見られたりするようになる。師匠が「本当に偉い人間とは若き日の誓いを貫き通せる人」と言われていたが、忍び寄る慢心や油断を排し、初志を貫徹する難しさを痛感した。全編通してズバズバ諫言していた魏徴は本当偉い人である。2025/02/20
tonnura007
19
唐の皇帝・太宗が臣下とのやり取りを描いた言行録。「創業守成」は有名で教科書でもよく取り上げられている。多くの為政者たちが本書で学んだとされており、特に徳川家康や明治天皇の愛読書ということは有名。 太宗が優れているのは、臣下の諫言を聞き入れ自らの過ちを修正できることだと思っていた。が、貞観10年以降の記述では、自らが避難していた隋の煬帝と同じような振る舞いも多い。初心を忘れて現状に慣れると傲慢になってしまう。まさに創業守成である。 読破に半年以上かかったが、抜粋引用したビジネス書とは違い太宗の弱点もわかる。2024/07/24
kawasaki
15
訳注者は歴史学者であり、「古典」として対する文学(漢学)系統の人とはまた違うアプローチをおこなっている、という。自省する名君と諫言する名臣たちの理想的なやりとりの記録、というのが『貞観政要』の一般的イメージではあるのだろうけれど、「名君たらんとして励んだけれども、それでも結局うまくいかなった部分の多い太宗」の姿をもある意味残酷に書き記し、それをもって後の君主の鑑としようという、緊張感に満ちた著作であったのだなと思う。そうした「人間味」が、時代を越えて読み継がれる古典たる所以かな。2021/08/04
Gokkey
13
なかなかどうして、非常に面白かった。章ごとに設けられた解説が非常に効果的で、当時の中国の政治的背景と関連付けて読むことが出来る。先に読了したちくまのものは抄訳であり、部下・家臣による諫言の重要性とそれに応じた君主の振る舞い方に絞った内容であるようだ。一方で本書はもう少し雑然というか、内容が多岐に亘っており、韓非子の内容を受けた賞罰のあり方から菜根譚に書かれるような世渡りの要諦のような記述まで見られる。ビジネスマンが読む内容としては前者で十分かもしれないが、古代中国史を学び直してもう一度読み返したい。2024/04/22
qwer0987
13
唐の太宗に対する諫言を記した書で、上に立つ者の心構えを伝えるような内容だ。そのいくつかは興味深く、個人的には、部下の忠言に対しては表情をやわらげて聞く方が良いという話は参考になる。そのように下の意見に耳を傾け、良い政治を志す姿は君主の鑑だ。しかしその太宗も晩年は諫言に耳を貸さなくなり、贅沢にふけり、嘲弄していた煬帝と同じ轍を踏むようになる。若いうちは高邁な理想に燃えていても、権力の座に居続けることで楽に流され傲慢になる。諫言録としてだけでなく、そんな反面教師の書としても読みごたえがあった。2022/03/06
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- 日経トレンディ 2014年 07月号