出版社内容情報
呉 兢[ゴ キョウ]
編集
石見 清裕[イワミ キヨヒロ]
翻訳
内容説明
唐王朝の最盛と謳われる七世紀「貞観の治」をなした皇帝・太宗。その「名君」が臣下と議論を交わし、ときに痛烈な諌言を受け入れた様を、後世の皇帝の手本として編纂した本書は、日本においても平安時代以来、「帝王学」の書として統治者たちに読まれ続けてきた。その全文を平明な文章で訳し、さらに歴史学の眼で明快に注釈・解説を加えた、決定版!
目次
君道第一
政体第二
任賢第三
求諌第四
納諌第五
直諌(附)
君臣鑒戒第六
択官第七
封建第八
太子諸王定分第九〔ほか〕
著者等紹介
石見清裕[イワミキヨヒロ]
1951年、東京生まれ。早稲田大学大学院修士課程・博士課程単位取得退学。文学博士。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専門は唐代政治史・国際関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kawasaki
14
訳注者は歴史学者であり、「古典」として対する文学(漢学)系統の人とはまた違うアプローチをおこなっている、という。自省する名君と諫言する名臣たちの理想的なやりとりの記録、というのが『貞観政要』の一般的イメージではあるのだろうけれど、「名君たらんとして励んだけれども、それでも結局うまくいかなった部分の多い太宗」の姿をもある意味残酷に書き記し、それをもって後の君主の鑑としようという、緊張感に満ちた著作であったのだなと思う。そうした「人間味」が、時代を越えて読み継がれる古典たる所以かな。2021/08/04
qwer0987
12
唐の太宗に対する諫言を記した書で、上に立つ者の心構えを伝えるような内容だ。そのいくつかは興味深く、個人的には、部下の忠言に対しては表情をやわらげて聞く方が良いという話は参考になる。そのように下の意見に耳を傾け、良い政治を志す姿は君主の鑑だ。しかしその太宗も晩年は諫言に耳を貸さなくなり、贅沢にふけり、嘲弄していた煬帝と同じ轍を踏むようになる。若いうちは高邁な理想に燃えていても、権力の座に居続けることで楽に流され傲慢になる。諫言録としてだけでなく、そんな反面教師の書としても読みごたえがあった。2022/03/06
Gokkey
10
なかなかどうして、非常に面白かった。章ごとに設けられた解説が非常に効果的で、当時の中国の政治的背景と関連付けて読むことが出来る。先に読了したちくまのものは抄訳であり、部下・家臣による諫言の重要性とそれに応じた君主の振る舞い方に絞った内容であるようだ。一方で本書はもう少し雑然というか、内容が多岐に亘っており、韓非子の内容を受けた賞罰のあり方から菜根譚に書かれるような世渡りの要諦のような記述まで見られる。ビジネスマンが読む内容としては前者で十分かもしれないが、古代中国史を学び直してもう一度読み返したい。2024/04/22
かみかみ
10
唐の二代皇帝太宗と彼に仕えた群臣たちの言行録。テーマは政治、人事、学問、皇太子の教育など多岐に亘っているが主に君主や臣下の在り方について多くの紙面を割いている。読むまでは君主の心構えについてがメインテーマと思っていただけに、君主の過ちを諫めて正す臣下の役割が幾度も強調されていた点に発見があった。また、名君と謳われた太宗も次第に初心を失って諫言を嫌がったり、高句麗遠征や奢侈に走ろうしたりするなど綻びが見えている点に彼の人間味と名君であり続けることの難しさを感じた。2021/07/12
BIN
9
電子書籍なのでボリュームをちゃんと確認してなかったが、全訳注なので目茶苦茶長かった。唐の太宗の言行録であるが、主に魏徴らの進言、諫言録です。政治家志す人とかはその精神を学んでほしいところではあるとは思うが当然今の政治家は読んでないよなとは思う。歴史家の訳なので色々歴史的な解説があって歴史好きには良かった。2023/12/29