内容説明
部員数が日本全国で4万人を突破し、いまやひとつの文化として根付きつつある高校ダンス部。その過熱ぶりは、3年にわたり部活動を追い続けてきたNHK BS‐1のドキュメンタリー番組「勝敗を越えた夏」への反響の大きさが物語っている。本書は、大人たちでさえ翻弄され続けた予期せぬ疫病禍において、高校生たちがどのように行動し、「部活」という組織の潜在能力をいかに引き出していったのか、その軌跡を丹念に辿るもの。さらに担当ディレクターが累計200時間に及ぶ高校生への密着取材の先に捉えた「日本の未来のチーム像」を、みなさんとともに考えたい。
目次
第1部 勝敗を越えた夏(人生をかけた2分30秒;勝敗のカギを握るのはユニゾン;コロナが「部活ダンス」を襲う ほか)
第2部 そろえて踊る「部活ダンス」の明と暗(2020年コロナ禍でのダンススタジアム;帝塚山学院「日本一の練習」;今年こそ結果にこだわりたい ほか)
第3部 未来のチーム(コロナ禍での「トップ3」;久米田高校に訪れた試練;105日ぶりの部活再開。そして車中の本音 ほか)
著者等紹介
中西朋[ナカニシトモ]
映像ディレクター/コンテンツ制作knot主宰。立教大学卒業後、ドキュメンタリーを作り始める。「勝敗を越えた夏2020‐ドキュメント日本高校ダンス部選手権‐」で第58回ギャラクシー賞上期・奨励賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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海燕
3
読み物として面白かった。体育会系のノリの活動だろうと思っていたが、多くの運動部と異なるのは、「自分達で創作する」というプロセスを踏むところ。ここで時間をかけて議論し、試行錯誤してその年に踊るダンスを決める。それから大会に向けて、形になるよう練習を重ねていくわけだが、トップを狙うような高校になると、生徒の熱量がすごい。一大プロジェクトだからこれをマネジメントしていくことがまず重要で大変。自分が高校生の頃、こんなに頑張って考えてなかった(笑)。かけがえのない経験になるのでしょう。2021/05/11
バーニング
2
むちゃくちゃ面白かった。登場する一人一人の熱量がすごく、ダンスやチームへの向き合い方が美しい。もちろんいい話ばかりじゃないししんどい話も多々あるがそういった青春の苦みも含めて高校生ならではの熱量が成せる業だと思う。青春が終わった後である各校OGへのインタビューが短いながらも挿入されていることで高校ダンスがいかような経験だったのか?を相対化させることに繋がっていたのも面白かった。高校を卒業しても人生は続く。だからこそ3年間の短い時間は美しく眩しく映る。2021/01/11
miura
1
「同調(ユニゾン)」と「個性」は両立できるのか?という問いに対する、著者の答えは両立できるというのが答えのようだ。「この曲に15人います」がそれを示している。この章を読んだ時に、ゾクッと来るものがあった。「同調」の仕方として当てはめることができる場面に巡り合うことがあるかもなと思う。2021/01/31