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内容説明
「わたし」は世界の果ての砂浜で一人の少年と出会った。モノが持つ物語を視ることのできるその少年は、ガラクタの山で何かを探しつづけている。幾多の記憶の旅を経て、あらゆる「世界の終わり」を見届けた末に少年が得たものは何なのか―?気鋭の詩人・歌人、岩倉文也が「世界の終わり」を紡ぎつづけた連作掌篇からなる待望の第一小説集。
著者等紹介
岩倉文也[イワクラフミヤ]
詩人・歌人。1998年福島県福島市生まれ。2018年、「ユリイカの新人」に選ばれる。同年、毎日歌壇賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
100
ぼくは言葉たちを マジックリンやら漂白剤やら色鉛筆の欠片やら 怒りやら哀しみやら戦意消失やら意気揚々やらとともに自動洗濯機に放り込み おもむろにスイッチを入れてみる。タイマーの時間設定は無限大。 ぐるぐる廻る渦を興味深げにみつめるのは銀色の毛並みのきみの猫。 乾燥は電子レンジでチンして出来上がりさ おおむねそれを、し、シ、詩、死と、あなたたちは呼ぶ ☆4.02021/05/21
沙智
10
物語の断片を切り取ってコラージュにしたような1冊だった。描かれる終末の姿に壮大さはなく、ありふれた日常が突如として途絶えるような印象を覚える。柔らかい言葉の並びに物語世界の奥行きがあって、映像が浮かんできたり、音楽が聴こえてきたりする。雨と雪と花が沢山登場した。この著者が長編小説を書いたらどんなものが出来るのか気になる。2023/10/27
mer
9
「骨」がすき2021/06/02
ハルト
9
読了:◎ 死という終わりについて。生という絶望について。死は連続し終わり続ける。死を想うこと。生を失うこと。ひたむきに、ひたすらにそれらが書かれ続ける。記憶の終末の旅。そこにあったのはなんなのか。さまざまなモノたちの記憶を辿りながら、世界は終わりへと近づいていく。与えられる孤絶感。人はどこまでもひとりだと思わせられる。なにをどうしても、終わりは来るのだ。死を見つめることで、世界を知る。連面と続く死に祈りを。そうして「わたし」は、死から去るのだ。2021/05/09
わんにゃん
6
「そうして時が経ち、街の廃墟はほとんど消えてしまった。解体され駐車場になったり、まっ白な老人ホームになったりした。僕は数年に一度帰省しては、そんな街の景観を見てまわる。なんだか、時が失われていくみたいだ。」 「電波塔」がすき。とても好みの作品集だった。2021/06/18