出版社内容情報
十年前に失明した母と暮らす生稲怜花は、ある日矢島という記者に声をかけられる。
老人ホームで起きたインフルエンザの集団感染。その死亡者に処方されていたのは、母の治療に使われたのと同じ新薬「シキミリンβ」だというのだ。
母の失明の原因は――まさか。
乱歩賞作家が描く、製薬会社やマスコミ、数多の謀略が交差する圧巻のミステリー。
内容説明
十年前に失明した母と暮らす生稲怜花は、ある日矢島という記者に声をかけられる。老人ホームで起きたインフルエンザの集団感染。その死亡者に処方されていたのは、母の治療に使われたのと同じ新薬「シキミリンβ」だというのだ。失明の原因は―まさか。製薬会社やマスコミ、数多の謀略が交差する圧巻のミステリー。
著者等紹介
鏑木蓮[カブラギレン]
1961年、京都市生まれ。2006年、『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。社会派ミステリー『白砂』(双葉社)が大ヒットした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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坂城 弥生
44
薬の認可の過程、治験の詳細とかも描かれていた。真っ直ぐな母娘で読んでて気持ちよかった。2020/11/20
さこちゃん
16
理解できたのは7割ぐらいか。よく分からないところを差し引いても面白かった。何かを発展させようとすると、強引さと犠牲は必要だということか。発展の恩恵は受けたいが、犠牲側には入りたくない、と誰もが思うところ。2020/11/28
hutaro
11
1つの薬が世間に出回るまで、想像以上に大変だった。製薬会社や医療関係者のおかげで助かっている反面、治験で大丈夫とされていても重篤な副作用が出て裁判沙汰になったりする。できることなら新薬は怖いから飲みたくないけど、それではいつまでも世の中に浸透しない。本書では、シキミリンβという新薬を投与したことによって失明をした可能性がある女性の娘が主人公だが、製薬会社の代表、医師、研究者とそれぞれの視点で話が進むため、誰かに肩入れする訳でもなく第三者の視点で読める。それぞれが新薬にこめる想いに感謝。☆☆☆☆2022/01/14
ソルト
11
医療倫理がまもられているか否か。複雑なような単純なような、濃いようなあっさりしているような、なんとなく居心地が悪かったです。2021/02/12
梨愛
6
大手創薬メーカーで予防にも使えて、副作用が極めて少ないインフルエンザ治療薬を開発した前妻の息子と現妻の息子のどちらがいい継ぐのかのお家騒動。失明した母と義父と暮らす居酒屋の看板娘。出会ったこともないクスリの開発者と看板娘を出会わせたのは老齢医療で有名な医師と、薬の副作用を疑うライターだった。失明の原因は副作用なのか?治験の在り方や正義について考えさせられた。恨みや悲しみは相手にストレートにぶつけてもなんの解決方法にもならないトする母の潔さがかっこいい。2025/04/12