講談社選書メチエ<br> イスラエルの起源―ロシア・ユダヤ人が作った国

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講談社選書メチエ
イスラエルの起源―ロシア・ユダヤ人が作った国

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  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784065215715
  • NDC分類 228.5
  • Cコード C0322

出版社内容情報

「イスラエル」は、どんな国でしょうか? 中東でよく戦争をしている、小国だが強大な軍事力をもっている、と思う人もいるでしょう。一方、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『シンドラーのリスト』(1993年)を思い出しながら、長らく迫害されてきたユダヤ人がナチスによるホロコーストの末、ついに作り上げた国と考える人もいるかもしれません。
迫害されてきたかわいそうなユダヤ人が念願かなって作った国、しかしアラブ人(パレスチナ人)を迫害している攻撃的な国――このような対極的なイメージは、いかにして生まれてきたのか。本書は、この謎に迫ります。
ホロコーストがイスラエル建国の大きな後押しになったことは間違いないとしても、そのことはイスラエルの軍事的な志向性を説明しません。さらに歴史を遡ると、19世紀後半からユダヤ人が変化していったこと、それが「国家」による自衛を求める動きにつながっていったことが明らかになります。そこで重要な役割を演じたのが、ロシア人でした。
その具体的な動きを追っていくために、本書はまずロシアのリベラリストに注目します。民族の自由を訴え、それゆえユダヤ人の同化にも反対したマクシム・ヴィナヴェル(1863-1926年)の活動を追っていくとき、パレスチナにユダヤ人国家を作ることを目指すシオニズムに共鳴したユダヤ人の中にも同じ主張をもつ者がいたことが分かります。その典型は、ダニエル・パスマニク(1869-1930年)に見られるものです。
ところが、1880年代にロシアで「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人への迫害が始まると、ユダヤ人的側面とロシア人的側面を共存させていたロシアのユダヤ人たちは、徐々にユダヤ的側面に特化していきます。そのときユダヤ人たちがもったのが、ロシアの近代化に寄与してきたユダヤ人は「西洋的」だが、ロシアはそれに対立する「東洋的」な性格を持ち続けている、という認識でした。「東洋的」なロシアによって「西洋的」なユダヤ人が苦境に陥ったとき、「西洋的」な国家はユダヤ人を助けない──その経験は、やがてイスラエルが建国され、アラブ人の暴動が起きたとき、同じ構図をユダヤ人の中に想起させるのです。
『ロシア・シオニズムの想像力』で高い評価を受けた気鋭の研究者が巨大な問いに挑む渾身の論考。現代世界を読み解く手がかりが、ここにあります。

[本書の内容]
序 章 二種類のユダヤ人
第一章 内なる国際関係
第二章 ユダヤ人とロシア帝国
第三章 「ロシア・ユダヤ人」の興亡
第四章 ファシズムを支持したユダヤ人
第五章 民族間関係の記憶
第六章 相補関係のユダヤ化
終 章 多面的な個が民族にまとまるとき

内容説明

長らく迫害された末、ナチスのホロコーストに直面したユダヤ人―苦難の歴史を背負う人々は、一九四八年、ついにイスラエルを建国した。だが、その国家は強大な軍事力を備え、アラブ人を攻撃する好戦的な姿をわれわれに見せ続けている。特異な国家が生まれた理由を解き明かすには、マクシム・ヴィナヴェル、ダニエル・パスマニクといった知られざるロシアのユダヤ人に迫る必要がある。膨大な資料を渉猟し、該博な知識に裏づけられた考察で気鋭の著者が歴史の謎に迫る、渾身の意欲作!

目次

序章 二種類のユダヤ人
第1章 内なる国際関係―自己のなかの複数の民族
第2章 ユダヤ人とロシア帝国―様々な変化
第3章 「ロシア・ユダヤ人」の興亡―相互乗り入れするリベラリスト
第4章 ファシズムを支持したユダヤ人―リベラル・シオニストにとっての国家
第5章 民族間関係の記憶―ポグロムとパレスチナをつなぐもの
第6章 相補関係のユダヤ化―シベリア・極東のシオニスト
終章 多面的な個が民族にまとまるとき

著者等紹介

鶴見太郎[ツルミタロウ]
1982年、岐阜県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は、エスニシティ・ナショナリズム論、ロシア・ユダヤ史、シオニズム、イスラエル・パレスチナ紛争。主な著書に、『ロシア・シオニズムの想像力』(東京大学出版会。東京大学南原繁記念出版賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bapaksejahtera

13
昔著者初期の論文「ロシア・シオニズムの想像力」を悪戦苦闘しつつ読んだ。本書はそれに繋がる物だろうが上記書籍内容を多く忘れた。遅れた露民衆を引き上げる使命を持つ集団として儚くも自らを位置づけた在露ユダヤ人は、帝政の崩壊でポーランドウクライナに高まる民族主義や革命下の混乱の結果頻繁に起こるポグロムに失望し、上記の思込みをシオンの地実現へと変える。結果シオニズム牽引の主体は在露ユダヤ人に。本書ではスターリンの圧政下膨らんだイスラエル移住や極東に今も残るユダヤ人自治州の成立や経緯について触れない。残念な点である。2023/03/10

politics

5
今尚軍事国家として中東情勢を賑わすイスラエル。その好戦的な国家誕生の起源として本書はロシアユダヤ人に注目。主にリベラリスト・シオニストユダヤ知識人の言説を追い、複数のアイデンティティの中で徐々にパレスチナへの「帰還」、排他的な民族主義へと駆られていく姿が描かれる。著者はロシア・ユダヤを専門としていることもあり、他のヨーロッパ 、アメリカのユダヤ人らはイスラエル建国にどう関与したのかが不明で、その点が理解できればよりイスラエルの見方が判るような気がするが。2023/11/02

Myrmidon

4
ややタイトルに偽りありで、包括的な「イスラエルの起源」というよりも、ロシア帝国末期からロシア革命後にかけての、ユダヤ人のアイデンティティ・内面にフォーカスした研究。イスラエルの排他的なシオニズムについてはホロコーストとの関連で理解されることが多いが、排他的なシオニズムはそれより前から誕生しており、それにはロシア帝国末期におけるユダヤ人の社会・経済的地位の変化、ポーランド・ナショナリズムとの関係、ポグロムの経験などが大きな影響があったとする。2020年の著作であり、最近の情勢に対応した本ではないが、イスラエ2024/06/04

mstr_kk

3
これも面白い本でした。シオニズムの重要な部分はロシアのユダヤ人たちによって育まれ、しかも、ロシアでのポグロムを経て思想的に展開したという話。2024/10/16

Toska

3
「イスラエルの起源」そのものよりはロシア帝国時代のユダヤ思想を点検するという側面が強いが、それでも充分に興味深く刺激的な内容。単に「民族」や「宗教」で人を切り分けるのではなく、個々人が複数の属性を持ち、それらが複雑に絡み合い変化しながら行動を規定していくという説明には目から鱗が落ちた。現実に対応する処方箋としての「リアリズム」と「リベラリズム」の相克も、戦後日本が歩んだ道のりと重ねて考えさせられる。2021/07/03

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