出版社内容情報
あなたは、かならず読み返す。
本格ミステリ大賞作家・森川智喜が絶技を駆使して送り出す新時代の傑作、誕生。
「私の大好きな事務所を守って……!」切なる思いが引き起こす、”聞こえない声”の物語。
内容説明
不狼煙さくらは探偵・彗山小竹との浮気調査中に、調査対象の死に遭遇。一見病死だが、しかけた盗聴器からは“死者との会話”が流れ出してきた!?これは自然死か、死者の呪いなのか…。旧知の警察官に興信所廃業の脅しをかけられるなか、真相を追う二人は予想だにしない悪意に出遭う―。デビュー二作目にして本格ミステリ大賞を受賞した天才に、あなたは絶対に騙される。
著者等紹介
森川智喜[モリカワトモキ]
1984年、香川県生まれ。京都大学大学院理学研究科修士課程修了。京都大学推理小説研究会出身。2010年『キャットフード名探偵三途川理と注文の多い館の殺人』(講談社BOX)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちーたん
89
★★★☆☆浮気調査の対象者が車中で死を遂げる。仕掛けていた盗聴器から聞こえるのは本人の声のみ。会話の内容は死者との会話?通称『死者の言葉事件』。この真相を知るには読者の読む覚悟が必要だ!◆第一幕で煽られて始まるプロローグ。物語の大半はこの事件のあらまし。死生観が哲学的に語られどう決着を見せるのか?この一点の調査なので少々退屈さと読み辛さを感じる展開なのだが第三章に来て今までが全く違うものへと一気にひっくり返されるのが面白い!なるほど!そういう意味では読み方もあってた訳か!全てが伏線!このオセロえげつないw2020/12/13
うまる
43
死者と会話をした直後に死んだ男の謎を追うオカルティックなミステリのはずが…。 タイトルの意味と世界観がグルリとする展開が面白かったです。真相がわかってもスッキリ爽快な気分にならないオチも結構好き。ただ、「京大生100%が騙された」の煽り帯で、さぞかしロジカルなんだろう、凄いトリックがあるのだろうと思って手に取った人は怒っちゃうかもしれません。作中の死生観哲学も、"死者"とは何かというネタも良くできているのだから、そんな変な売り方をしなくてもいいのにと思いました。2021/06/21
よっち
40
不狼煙さくらは探偵・箒山との浮気調査中に、調査対象の突然死に遭遇。病死とされたものの仕掛けた盗聴器からは死者との会話が流れ出して、真相を追う二人は予想だにしない悪意に出会うミステリ。調査対象が突然死する直前に話していた、話し声が聞こえない相手は誰だったのか。不狼煙と箒山のダブル女子探偵を中心に、調査対象の妻や実家、贔屓のバーなどで聞き込みした中で見出す些細なヒント、そこから導き出されてゆく真相には唸らされましたが、だからこそ事件解決の裏に隠されていた驚愕の事実に、これまでの全てを覆された気分になりました。2020/10/15
カノコ
39
浮気の調査対象者が、心臓発作で死亡した。車に仕掛けた盗聴器を確認すると、そこには「死者との会話」が記録されていた。探偵の箒山と助手の不狼煙は調査に乗り出す。何を言えばいいのか……。著者お得意のマジックアイテムを使った特殊設定ミステリなのかと思ったが、そうとも言い切れず。煮え切らない感想しか書けない。「死者」の正体や、オチのつけ方、何もかも予想外ではあるのだが、予想できなかったということと面白さは残念ながら直結しない。読後、とんでもない気分の悪さと共にタイトルを眺めることしかできない。どうなんだこれは……。2021/03/06
りらこ
25
死者と言葉を交わすのは、タブーなのか。 身近な家族であったら、その後も意見を聞きたくなったり、こんなことがあったんだよと報告したくなったりするだろう。 様々な迂回路を通りながら、明らかにされる真実。 死を考察することは、いかに生きるかということに繋がるのだ。 さらに言えば、自覚と無自覚の境をわざと気づかぬフリをしていることは、罪なのか罪ではないのか。 生と死の境界、自覚と無自覚の境界、そんなことを考えながら読んだ。2020/10/19