出版社内容情報
全国から寄贈された樹を植えてつくられた人工の森。世界でも例のない、100年間続いてきた、広大な人工の森。それが明治神宮の森です。100年の間に、針葉樹から広葉樹へと、森は、そのすがたを変えていきました。東京のほかの場所では見られないような生きものも、この森では息づいています。人の手によって植えられましたが、そのあとは、木々が育ち、倒れ、自然に移り変わっていくのにまかせて、森は成長し、変化してきました。その成長と変化は、さらに何百年と続いていくでしょう。これは、そんな奇跡の森の物語を、精緻なタッチで描いた、奇跡のような絵本です。
内容説明
高層ビルが立ちならぶ東京のど真ん中になぜこんな大きな森があるのでしょうか。その「なぞ」を知るために3羽のヤマガラたちといっしょに森へいってみましょう。
著者等紹介
松岡達英[マツオカタツヒデ]
1944年新潟県長岡市生まれ。国内および世界各地での豊富な現地取材に基づいた著作を生み出してきた。「熱帯探険図鑑」シリーズ(偕成社/絵本にっぽん賞)、『ジャングル』(岩崎書店/日本科学読物賞と厚生省児童福祉文化賞)、『震度7 新潟県中越地震を忘れない』(ポプラ社/産経児童出版文化賞)、『野遊びを楽しむ 里山百年図鑑』(小学館/小学館児童出版文化賞)など、赤ちゃん絵本から科学絵本、図鑑、ノンフィクションまで著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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シフォン
41
明治神宮の森が、100年も前に150年先を見据えて造られた人工の森であることを知らなかった。3羽のヤマガラと共に森に入り、スダジイの話に耳を傾ける。針葉樹、広葉樹、落ち葉、虫、キノコ、動物に鳥たち、戦争を乗り越え、鎮座100年の記念事業では2840種の生物が記録されたとのこと。神宮の森に一歩入ると厳かな気持ちになる。この森がいつまでも続いていってほしいですね。2021/01/01
ヒラP@ehon.gohon
35
自然の営みが東京の真ん中で行われていることに驚きました。 それが壮大な工事で造り上げれた物であることを初めて詞って、さらに驚きました。 絵本は、種明かしの前にその森の紹介に徹しています。 まるでどこか山の方に行かなければ見られないように思ってしまいましたが、都会のなかにそのような場所がある不思議さに感動しました。 経緯が明治天皇の崩御に由来すると説明されて納得しました。 この森も、100年の間に周囲がこれほどに変貌することは想像していなかったでしょうね。2021/01/09
anne@灯れ松明の火
35
森というものは、自然にできるもの、できたものだと思っていた。しかし、今回の舞台である明治神宮の森は、違った。全国から寄贈された樹を植えてつくられた人工の森なのだ。 大人の私が驚いているのだから、子どもたちはもっとビックリするだろう。森が、多くの人の手によって、生まれ、育っていく様子を、松岡さんが細かく、丁寧に描いている。歴史絵本であり、科学絵本であり、さらには、詩のような絵本にも思える。「100年も1000年もつづくといいね」松岡さんの願いが胸に響く。 #NetGalleyJP2020/11/02
たまきら
34
人為的に作られた都会の森。その歴史と今を紹介している絵本です。都会のほうが農薬の空中散布もないので動植物が実は元気なのだ、と長野に移住した友人から聞いてびっくりしたなあ。田舎暮らしを求めて引っ越し、化学物質過敏症になって都会に戻ってくる人って結構いるんだそうです。そういう話を聞くとこの森がゆりかごのように感じられてきます。2020/12/25
りー
30
明治神宮の鎮守の森がどのように計画されつくられたかを、美しいイラストレーションで分かりやすく学べる絵本。この人造の森は、本多静六、本郷高徳、上原敬二の三博士によって、太古の原生林を目標につくられた。最初は樹木の半分は針葉樹だったが、100年の後に針葉樹の高さを落葉広葉樹が抜いて針葉樹が倒木となり、それらを養分にして更に森が育つ…というのが最初から計画されていたのが凄まじい。100年を見据える目。空襲の焔をも凌ぎ、大都市の中に鎮座するこのオアシスを、より大切に思えるようになる本。2021/04/24