出版社内容情報
鴻上 尚史[コウカミ ショウジ]
著・文・その他
佐藤 直樹[サトウ ナオキ]
著・文・その他
内容説明
生きづらいのはあなたのせいじゃない。日本社会のカラクリ=世間のルールを解き明かし、息苦しさから解放されるためのヒント。
目次
コロナで炙り出された「世間」―戦時という風景
第1部 「世間」が生み出す同調圧力(世間と社会はどこが違うのか;世間と社会の二重構造;「お返しのルール」―LINEの既読無視が問題視される理由;「身分制のルール」―なぜ名刺をもらうと安心するのか;「人間平等主義のルール」―強いねたみ意識 ほか)
第2部 同調圧力の正体(なぜ世間に謝罪するのか―加害者家族へのバッシング;「親の顔が見てみたい」と家制度;感染者に謝罪を求める理由;ひきこもりと世間体;生活保護を妨げる「恥」―「権利」は持っているだけで「正しい」 ほか)
著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
作家・演出家。1958年愛媛県生まれ。1981年に劇団「第三舞台」を結成。現在は、プロデュースユニット「KOKAMI@network」と、「虚構の劇団」を中心に活動。著書多数
佐藤直樹[サトウナオキ]
評論家。1951年仙台市生まれ。専門は世間学、現代評論、刑事法学。九州大学大学院博士後期課程単位取得退学。英国エジンバラ大学法学部客員研究員、福岡県立大学助教授、九州工業大学教授などを経て、九州工業大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
148
コロナ禍でさらに露わになったこの国の息苦しさ。源流は世間・・・。当り前の結論、ではある。神に一人向かい合うキリスト教文化圏、八百万の神様に見守られ、集団として生きる日本。どちらがいい悪いではなく、様々な局面で有効だったり害になったりする、そういうものなのだろう。ただ、私は今この世界で生きてて、そう長くもない残り時間を息を殺して過ごすなんて真っ平だけど、勤務先からプレッシャーかけられれば、外食も旅行も控えたりするヘタレだ。せめて「小さな世間」を複数持つことで、軟弱ではあっても「個」として立ちたいと思う。2020/10/24
KAZOO
121
鴻上さんと佐藤さんの対談であるので非常にわかりやすく頭に入ってきます。空気を読むというのか日本人は昔からこのような気がします。ツイッターやSNSによってさらにその傾向が極端になってきています。最近のコロナ下でも同じようなことがいえます。渋谷のハロウィンなども同じです。鴻上さんはイギリスなどへも行っておられて海外の空気などを吸っているので考え方が自由なのでしょう。岩波ジュニア新書にも同じようなものがあるので若い人も読んでもらいたい気がします。2021/02/01
どんぐり
87
コロナで炙り出されたみんな同じにという世間の「同調圧力」。ちょっと踏み外すと責められ、バッシングを受ける。この「同調圧力」は、あなたを爪はじきし、世間にすがっても息苦しい「空気」を押し付けられるだけである。鴻上のメッセージ-は、同調圧力に抗し個人が幸せになるには、「『世間』という強力な敵をよく知ったうえで、『社会』とつながる言葉を獲得する」ことだという。そして、「『社会』という自分とは無縁の人たちとどう関係をつくっていくか、そこにしか日本人の未来はない」とまで言い切る。→2021/07/05
とよぽん
69
鴻上尚史さんと佐藤直樹さんの対談。息苦しさの正体は同調圧力で、それは自分が属する「世間」を守るために発動する。それ故、日本には「社会」がなく、社会に対する個人も存在し得ない。「世間」に属する個が世間のルールに従って判断し行動する。今のコロナ禍にあって、同調圧力のマイナス面が肥大し明確なかたちで出てきた、という説にも納得。息苦しさから脱するためには、自分が属する「世間」の数を複数に増やして「世間」の風通しをよくすることが有効だと。日本語が基本的には「世間」の言葉だという指摘に目からウロコ!2021/03/29
万葉語り
66
コロナ禍で感染した有名人が謝罪をしたり、自粛警察が登場したり、なんだかもやもやしたやらされてる感の正体は「世間」及び「同調圧力」。武家のルールを庶民にまで浸透させた明治政府の思惑を令和まで引っ張っている日本人。できれば「ほんの少し賢い個人」でいたいと思った。2021-0712021/06/20