出版社内容情報
「彼は大名の座から逃げようと思えば逃げられる境遇にあった。事実一度は逃げ出した。しかし四囲の情勢から過重な大任を引き受け、進んで戦乱のなかに身を投じて行った――」。
のちに「越後の龍」、「軍神」とまで称され、戦上手の代名詞となった上杉謙信は、どのようにして歴史の表舞台に躍り出たのか。本書は、謙信の単なる一代記にとどまらず、謙信の父であり、文字通り戦いに明け暮れる生涯を送った「戦の鬼」長尾為景の下剋上を中心に、複雑な越後の政治情勢から丁寧に説き起こす。家督を継いだ謙信は、独立心旺盛な国衆の反乱や裏切りに苦しみつつも、武田信玄や、北条氏康ら戦国の雄との対陣を繰り返し、やがては織田信長をも破る強国へと越後を導いていく。その苦難の道のりは、思わず引き込まれてしまうような血の通った文章で活写される一方で、いたずらに対象を美化することなく、透徹したまなざしで戦国武将上杉謙信の実像に迫る。早逝が惜しまれる研究者による、刊行から半世紀経てもなお色褪せることのない謙信伝の古典!(原本:人物往来社、1966年)
解説(山田邦明・愛知大学教授)より
......歴史の大きな流れをどうつかみ、具体的に現れる事象をどう評価するか、個々の人間の動きや、彼らが織りなすドラマをいかに表現するか、そうしたことを考えさせてくれるものとして、活力にあふれた本書は大きな価値を持ち、光彩を放っている。
内容説明
武田信玄と幾度も対陣し、織田信長にも大勝した雪国の猛将上杉謙信(一五三〇‐七八年)。越後守護代の末子として生まれた彼はどのように戦国の表舞台に躍り出たのか。複雑な越後の政治情勢から説き起こし、国衆に手を焼きながらも強国へとまとめあげていく波瀾万丈の生涯を、躍動する達意の文体で活写する。謙信伝の古典的名著!
目次
戦国の越後
長尾氏の勃興
守護領国の発展
下剋上
上杉謙信登場の前夜
春日山城に入る
国内統一
関東進撃
血涙川中島
征馬西に進む
著者等紹介
井上鋭夫[イノウエトシオ]
1923‐74年。東京大学文学部国史学科卒業。新潟大学教授、金沢大学教授を歴任。専門は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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