内容説明
一五六〇年、桶狭間の合戦前夜。緊張感漂う清洲城で、織田信長は扇子を手に敦盛を舞い、静かにある決意を固めていた。やがて信長は一つの作戦を示す。あまりの無謀さに家臣の猛反対にあう中、信長だけに見えていた勝利への道筋とは(覇舞謡)。動乱の時代を駆け抜けた六将の目を通して“戦国”を活写した連作短編集。
著者等紹介
冲方丁[ウブカタトウ]
1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で第1回角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。マンガ原作やアニメ脚本も手がけるなど、様々なジャンルで活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hit4papa
65
桶狭間の戦いから大阪夏の陣まで、六人の戦国武将のターニングポイントを捉えた作品。主人公は、織田信長、上杉謙信、明智光秀、大谷吉継、小早川秀秋、豊臣秀頼です。様々な作品で語り尽くされているので、歴史小説ファンからするとハードルが高いテーマです。本作品集は、主役たちのモチベーションに光を当て、通説とは異なる解釈を持ち込んでいます。結果は覆すことができない歴史に如何にオリジナリティを表現するかが著者の腕の見せ所なら、本作品は成功していると言えるでしょう。登場人物らの心の機微に感動すら覚える純文学的な作品集です。2023/04/13
大阪魂
56
解説読んだら「決戦シリーズ」ってゆーのがあって各作家さんが戦国武将を割り振られてその武将主人公の短編を書いてはったみたいなんやけど、そのうち冲方さん担当の短編を歴史順に並べて連作短編集にしはった本!主人公は桶狭間の織田信長、川中島の上杉謙信、本能寺の明智光秀、関ヶ原の大谷吉継・小早川秀秋、大坂の陣の豊臣秀頼!どれも新解釈な人物像ばっかりで楽しかったのと、戦に大事なんは「道」と「神がかり」そして兵、財、大義、信仰や!ってテーマで統一されてたん斬新やった!吉継の話が1番好き!あと秀頼、ほんまは名君やったんや!2022/12/01
優希
45
戦国の動乱機を駆け抜けた武将たちが格好良かったです。6人の武将たちの目で見た戦国が生き生きと活写されていて、より戦国時代を味わうことができると思いました。面白かったです。2024/04/26
紫陽花
41
①覇舞謡(織田信長)、②五宝の矛(上杉謙信)、③純白き鬼札(明智光秀)、④燃ゆる病葉(大谷吉継)、⑤真紅の米(小早川秀秋)、⑥黄金児(豊臣秀頼)の6つの短編集で構成されています。それぞれは全く違う話なのですが、「道」という言葉で繋がっていました。私として最も気に入った作品は「覇舞踊」。桶狭間の戦いをするに当たり入念に準備し、気魄を持って前に進む信長の姿が描かれていて、読んでいてパワーをもらいました。2023/05/21
小太郎
32
戦国物6篇の短編集。「覇舞謡」織田信長、「五宝の矛」上杉謙信、「純白き札」明智光秀、「燃ゆる病葉」大谷刑部、「真紅の米」小早川秀秋、「黄金児」豊臣秀頼。いずれも今までの史観を覆すような独自の解釈による人物像が素晴らしい。なんとなく既読感があったので後書きを読むと冲方丁さんが「決戦シリーズ」に書いたものをまとめたという事で納得。(ほとんど覚えていなかった 笑)歴史ものは作者が既存の資料や作品を読み込んでそこに独自の解釈をどう加えるのかが読みどころだと思うのですが、どれもが楽しめました。★3.52025/05/10
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