内容説明
越王・句践が呉の王宮に身を移されてから二年余。呉が陳へ攻め入った報を受け、越の大夫・范蠡と諸稽郢は、使者として呉へ向かう。そこで呉王・夫差は、句践の帰国を許すかわりに、二人に呉都にとどまるよう命じるのだった。伍子胥と范蠡、二人の英傑の運命を雄大に描く中国歴史小説の傑作、ついに完結!
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
1945年愛知県蒲郡市生まれ。『天空の舟』で新田次郎文学賞を、『夏姫春秋』で直木賞を、『重耳』で芸術選奨・文部大臣賞を、『子産』で吉川英治文学賞を受賞。中国古代に材をとった歴史ロマンの第一人者。2006年に紫綬褒章、’16年に旭日小綬章を受章した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひ ろ
22
★★★★☆ 古代中国、一番好きな春秋時代。諺「臥薪嘗胆」や「呉越同舟」でも有名な呉越戦争の話。あとがきで宮城谷さんも書かれているが、極端に資料が少なく、相当に苦労されたらしい。文庫九巻に及ぶ大長編であったが、それだけに読み応え抜群でした。伍子胥は最後まで壮絶。対して范蠡のひき際は見事であった。宮城谷さんの理想かな? 范蠡と西施はこの先、穏やかな歳月を刻むことでしょうね。2020/09/28
Book Lover Mr.Garakuta
19
作業所の休憩時間中に、読了。いや〜、面白かったですね。宮城谷昌光流の中国古代浪漫小説も、此の巻で終わりですか。ありがとうございました。思う存分に愉しめました。このシリーズいつかまた再読したいですね。2020/11/13
しんすけ
18
限りなく面白い。いや興味深いと表現すべきかもしれない。しかし今までの8巻よりは読み終わるのに時間を要した。 今までと違って動的要素は減少し、范蠡が論理を組み立てるような文章が続く。 それが面白く興味が尽きず、そこで立ち止まらざるを得ない。 范蠡は派手な行動はしないが緻密な行動を自選するという意味で興味が尽きないのだ。 無理なく論理を納得させる文章も多い。 ●平時に為さねばならぬことは山ほどあるはずだ ●学ぶということは、生涯学ぶということだ。 ●功が多い臣は、君主にうるさがられることになる。2020/11/25
サチオ
12
伍子胥と范蠡…各々の身の処し方をみてどちらが正しいとは言えないが、特に范蠡の観察眼、身の引き方は鮮やかであったなと思う。でも伍子胥の激しい生き方も沢山の人を巻き込み、歴史への影響は計り知れなかったと思う。いずれの生き方も学ぶ事が多い。物語の本質を余すところなく書ききる宮城谷先生だからこその、二人を中心に据えた大長編。堪能させていただきました。2020/09/28
kiiseegen
8
文庫版の刊行も七年越しで呉越春秋も漸く完結。飛鳥尽きて良弓蔵る、狡兎死して走狗烹らる。の故事は意味深い...。2020/09/19