内容説明
田舎の集落で生まれ、規格外の人生観をもつ家族のもと「当たり前」すら知らずに育った著者。悪臭立ち込める新婚生活を経て、病気で無職になってからも災厄続き。それでも折れない清らかな花のような佇まいで、ユーモラスに綴る愛しき半生とは。『夫のちんぽが入らない』から一年、第34回講談社エッセイ賞受賞作。
目次
父、はじめてのおつかい
雷おばさんの晩年
ふたりのおばさん
私の守り神
ここは、おしまいの地
金髪の豚
川本、またおまえか
モンシロチョウを棄てた街で
春の便り
先生のうわさ
巻き込まれの系譜
穂先メンマの墓の下で
偽者
傘
言えない
すべてを知ったあとでも
いちご味の遺品
春の便り、その後
首に宿る命
父のシャンプーをぶっかけて走る
著者等紹介
こだま[コダマ]
主婦。2017年、実話をもとにした私小説『夫のちんぽが入らない』でデビュー。たちまちベストセラーとなり、「Yahoo!検索大賞2017」(小説部門)受賞。漫画化、連続ドラマ化もされる。二作目の『ここは、おしまいの地』で第34回講談社エッセイ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H!deking
89
夫のちんぽが入らない、でお馴染み、こだまさんのエッセイ集。痛々しい出来事が綴られてはいますが、夫のちんぽ同様、文体が軽いのでスルスル読めてしまいます。ご本人があとがきで、自分がかわいそうな訳がないと仰っているので、あえて言わせてもらいます。めちゃくちゃ笑いました(笑)2020/07/02
チョコ
65
初読み作家さん。本当に、辛い人生を視点を変えるとここまで面白く語れるのか、と、え〜!っと思いながらも笑ってしまうエッセイが満載でした。「穂先メンマの墓の下で」の姉妹関係も面白く、持っていき方が本当に面白い。「いちご味の遺品」もよかった。『夫のちんぽ…』題名が凄すぎて手に取ることが憚られて読んでいなかったけれど、読んでみないといけない!と思っているところ。2024/02/29
b☆h
41
以前何かで調べた時に笑えるエッセイで検索に引っかかって以来、気になってた作品。笑える、というよりは強い生命力を感じるような作品に思えた。いくつか、共感する部分もあったけど、『普通って何だろう、私はどんどんわからなくなってきている。』に激しく同意する。経験を積めば積むほど、普通なんてないんだなぁと実感している。どんな自分でもいいじゃない、と言ってもらえた気持ちになる。手元に置いておきたい一冊になった。2023/04/28
olive
40
笑いながら怒る人。自己肯定力が低く、肝心な一言は言えない。言えないからこそ書くことで伝えようとする。肯定と否定の感情が、まさに笑いながら怒れる人なのではないだろうか?また、本書の魅力はの一つは笑いだ。外で読むのが危険なほどにね。本当は難しいと思われる苦しいこと辛いこと嫌なことを軽快に笑いに変えるこだまさんは凄しだわ。2020/08/01
ベル@bell-zou
33
タイトルでひいてしまった「夫のちんぽが入らない」。BS12「BOOK STAND TV」"向田邦子の匂いがする!"という酒井若菜さんの激オシにのってみた。いやたしかに。向田邦子の言葉は潔く凛としているが、こだまの言葉は潔く生々しい。生きるって本当に面倒。何かが余計なだけで笑われたり何かが足りないだけで卑屈になったり。何かに気付いて気楽になったり。あきらめることで前向きになったり。日々の些細な苦悩を和らげるヒントがここにある。とはいえ一年間「くせえ家」はご勘弁だなぁ。切なさと可笑しみがジワジワくる一冊。↓2021/09/18