出版社内容情報
崔 実[チェ シル]
著・文・その他
内容説明
デビュー作が芥川賞候補になったわたしは、意外な人物からの電話を受ける。17歳のとき入院した精神科で、患者たちのボスを気取っていた「安城さん」だ。8年ぶりに再会した彼女は、痩せこけ点滴に繋がれながらも、変わらず悪態をつき、わたしの封引した記憶を甦らせていく。閉鎖病棟で出会った仲間たちとの日々、救えなかった親友、そして―。長い沈黙を越えて、わたしは真実を語り始める。衝撃のデビュー作『ジニのパズル』から4年。魂の再生を描く、圧倒的感動作。第33回三島由紀夫賞候補作。
著者等紹介
崔実[チェシル]
1985年生まれ。2016年『ジニのパズル』で第59回群像新人文学賞を受賞し、デビュー。同作は第155回芥川賞候補となり、第33回織田作之助賞および第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
なゆ
84
かつて精神科の閉鎖病棟に入院していたわたし。その頃なにかと衝突していた安城さんとの8年後の再会。白血病の安城さんの病室に通いながら、促されるままに行きつ戻りつしながら生き辛かったこれまでを語る。これまで話すことができなかったことも。いや、安城さんに語り尽くしたということを、「君」に語っているのだ。ずっと語りかけずにはいられない「君」の存在、由香とのちょっぴりエキセントリックな日々、入院中の深夜のレジスタンス。すごく印象的なのは糸電話のエピソード。語ることと沈黙について。サーミ族のヨイクもすごく気になる。2021/05/30
ゆのん
75
精神病院に入院していた主人公。その時に出会った入院患者や、子供の頃の出来事を回想してゆく。話したいけど話せない心の奥底にある悲鳴の様な思いが読んでいて私にも突き刺さる様だった。時に驚く様な突飛な行動もあるが、その理由を知った時でも彼女達を精神病患者と指さす事が出来るのだろうかと思う。実際に精神病院に入院した人と接した事は無いが、彼女達の思いや考え方はとても真っ当に感じる。逆に社会で普通に生活している人であっても所謂『病んでる』と思われる人が沢山いるのではないかと思ってしまう。2332020/10/16
kei302
56
第33回三島由紀夫賞候補作品。光がさすようなラストがよかった。だが、そこに辿り着くまでの道のりは私が想像すらできないほどの過酷さ。胸の内に狂おしいほどの痛みを感じた。「生きよう、いつまでも。こうして君と一緒に生きていこう」。三島賞選考委員全員が「この作品が一番好き」と言い切ったにもかかわらず、受賞を逃し、受賞作は「かか」に。高橋源一郎氏の「もっさりしていて、最大の問題作」最高の褒め言葉だ。NetGalleyJP2020/09/30
yumiha
47
「人間って本当に辛いとき、黙るしかないんだね」「人が沈黙しているときこそ、最も耳を傾けるべき」(P121)に深く同意した。他人に気軽に話せるような辛さは、たいしたモンじゃない。本当に辛いことは、自分の内に沈潜していると思ふ。そんな辛さを抱えて、母親にも親友にも言えず、悩み苦しみ、世の中の不合理にキレてしまった挙句、精神のバランスを崩してしまった物語。そして今なお辛さを引き摺ったままだったのを救ってくれたのが、意外にもかつて精神病棟で敵対していたはずのおばちゃんだった。たぶん君にも会いに行ける日が来るはず。2023/03/24
さっとる◎
38
燃える目をしてずぶ濡れで立っている。本当はその炎すらたぶん何回も消えた。愛のせいで傘をさすこともできないでいる。それどころじゃないんだ、自分のことが手に負えない。沈黙だけがこぼれ出る。どうしようもない世界はそれを聴かない。本当に辛い時ひとは黙るしかないというのなら。なぁ君、私は役に立たない愛のことを祈ってもいいんだろうか。守ってあげられなかったあの頃の私は黙ったままただこちらを見ている。私との間にはたくさんの殺した言葉が散らばっている。ここは全然美しくない。それでも君、生きてみないか。そんなこと私が言う。2021/06/19
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