内容説明
聖地白山を流れる手取川で発見された不可解な首なし死体。棚旗奈々と桑原崇は、全国三千社を数える白山神社の総本宮・白山比〓神社を訪れ、殺人事件に巻き込まれる。崇が白山信仰の本質を解き明かすとき、犯人の意図も白日の下に。大学生の奈々が崇の博覧強記ぶりを目の当たりにする「江戸の弥生闇」も収録。
著者等紹介
高田崇史[タカダタカフミ]
昭和33年東京都生まれ。明治薬科大学卒業。『QED 百人一首の呪』で、第9回メフィスト賞を受賞し、デビュー。歴史ミステリを精力的に書きつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
44
2編の物語からなる1冊でした。個人的には大学時代のタタルと奈々を描いた『江戸の弥生闇』に興味を惹かれました。2023/06/28
ミエル
31
白山神社編と千住吉原編の二編。どちらも士農工商の枠外、いわゆる賎民にスポットが当てられている。このあたりの内容には馴染みがあるので、目新しさはないけれど誤解なくよくまとめられていると思う。現代になっても被差別側の生活習俗は、どうにも表現が難しいことが多い。特にリテラシーが注目される昨今ならなおさら。深掘りし過ぎない線引きで読み手に公正さや悲劇が伝えられるのか気苦労が多そう。などと書き手の苦労を勝手に妄想していたので、サスペンスパートのチープ感は気にならなかった。2024/08/26
hnzwd
26
中編2編。石川県に総本山を持ち、全国に拡がる白山信仰の裏側を暴く一作。『白』の意味が隠されている、ってあたりはいつも通りで、気にしていなかった気づかされる感じ。後半の作品は大学入学直後の事件で、、これはこれで改めて新鮮な。。2020/10/03
とも
25
★★★☆白山と吉原という中編2編構成。神代の時代と江戸の花街というまったく異なる内容なれど、どちらも悲しい歴史という共通点に人間の宿命が哀しい。2021/02/14
よっしー
22
白山にお出掛けしたので、読み返してみました。実際に行ってからだと、雰囲気も含めて想像が膨らむのは良いですね。ただ、木の影になっていて本殿の男千木が確認できなかったのは残念です。吉原の話はうろ覚えでしたが、祟と奈々の関係が新鮮でした。普通に考えたら、中々に敬遠しがちな雰囲気を出す祟ですが、話巧みに人を引き付ける。ある意味才能ですね!!2021/10/11