内容説明
新本格ミステリの端緒を開いた『十角館の殺人』刊行から三十周年を記念して出版されたアンソロジーが、ついに文庫化。綾辻行人、歌野晶午、法月綸太郎、有栖川有栖、我孫子武丸、山口雅也、麻耶雄嵩、新本格第一世代のレジェンド作家七人の夢の競演。「名探偵」をテーマに書かれた各作家の個性あふれる短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
麦ちゃんの下僕
180
「“新本格”第1世代」と呼ばれるベテラン作家陣の豪華競演!実に濃厚な内容にも関わらずスラスラ読めたのは、やはり皆さんの筆力が優れているからなんでしょうね。麻耶さんのは、長編の雰囲気漂う怪事件をメルカトル鮎が瞬殺(笑)…伏線を張った上でのあのオチも良いですね。山口さんの落語調の作品は、軽妙な雰囲気の中に突如示されるブラックな真相に驚嘆!我孫子さん&歌野さんのは…名探偵の話?(笑) 火村英生の有栖川さん&法月親子の法月さんは、やはりロジックが秀逸ですね!そしてトリの綾辻さん…現実と虚構の見事な融合に拍手です!2021/03/25
HANA
77
『十角館の殺人』から三十年。新本格ミステリが誕生して三十年を機に、第一期ともいえる作家が書き下ろしたアンソロジー。ただこれ変化球多すぎない?名探偵と謳いながらパロディに落語、SFにエッセイ風。普通の推理小説書いているの有栖川有栖と法月綸太郎だけというのもどうかと思うけど。そういえば新本格は名探偵の復権だったけど、必ずしも金田一や明智みたいに印象に残る探偵を生み出しているわけじゃないんだな。ある程度有名どころはメルカトルや火村、法月と本書でもしっかり活躍してるし。ただ変化球も含めて遊び心満載で楽しめたです。2020/12/21
かのん
40
97作品目( * ॑꒳ ॑* )♪アンソロジー作品を読むのは、初めてです。読み始めて、(。-_-。)ウーン失敗だったかな…と思ったけど、有栖川有栖さんの船長が死んだ夜を読み始めてから、ページ捲るスピード早くなりました(*´艸`*)ァハ♪この7人の作家さん達で、歌野晶午さんと綾辻行人さんしか読んだことなかったので、有栖川有栖さんの小説読んでみたいかなぁと思った( * ॑꒳ ॑* )♪特に綾辻行人さんの本格なのか?って思ったりしたが、実体験の事を書かれていたならば、凄い嬉しい(๑´ლ`๑)笑2020/11/30
マルコ(Marco)
38
新本格ミステリー7人衆による短編集。未読の作家がどんな作風か?を伺い知れるのも長所。個人的に麻耶雄嵩のブラックなオチが好み。火村&有栖の安定ぶり、AIを題材にした内容も在り柔軟性も味わえる。法月綸太郎は警視と作家の法月、とややこしいが親子で安楽椅子探偵モノで、トリックも一番ややこしく感じた。綾辻行人はミステリーと言うより、嬉しいゲスト登場でエッセイ要素強め。次作は在るのか、新しい作家で集めるのか興味深い。2020/12/21
おうつき
36
新本格ミステリーを牽引したレジェンド級の作家陣によるアンソロジー。作品によって好みの差はあるが、どれも意欲的な作風で面白かった。トンデモ設定をぶち込んできた我孫子武丸の「プロジェクト:シャーロック」、作家の持ち味が十分に発揮された法月倫太郎の「あべこべの遺書」、著者本人の視点から京大ミステリ研時代が描かれ、現実と虚構があいまいになる綾辻行人の「仮題・ぬえの密室」がお気に入り。2020/09/29