出版社内容情報
少年時代を独り野生児として育った「虎」が、畑を荒らして村人に捕まってしまう。処刑されそうになるところを四郎という少年に命を救われる。天草四郎と虎の出会いだった。そのころ、九州の島原と天草の切支丹に対する迫害は苛烈を極め、四郎の父親らを首謀者にして公儀への反抗が企てられつつあった。他方、老中・松平信綱は、三代将軍・家光の治世に不安を抱いていた。江戸に幕府が開かれて三十有余年、天下は徳川家の下に本当に治まっていると言えるのか。歯向かう大名家は無くとも、民草はまだ治まっていない。信綱の心の中に潜む闇が蠢く……。
内容説明
森の中で独り生き抜いてきた野生児「虎」が村人に捕まり、少年に命を救われる。天草四郎と虎の出会いだった。当時、九州の島原と天草の切支丹に対する迫害は苛烈を極め、四郎の父親らは公儀への反抗を企てていた。他方、老中・松平信綱は、三代将軍・家光の治世に不安を抱き…。島原の乱を描いた快作!
著者等紹介
矢野隆[ヤノタカシ]
1976年福岡県生まれ。2008年『蛇衆』で第21回小説すばる新人賞を受賞。その後、『無頼無頼ッ!』『兇』『勝負!』など、ニューウェーブ時代小説と呼ばれる作品を手がける。また、『戦国BASARA3 伊達政宗の章』『NARUTO‐ナルト‐シカマル新伝』といった、ゲームやコミックのノベライズ作品も執筆して注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Katsuto Yoshinaga
12
「俺は楽しかったぞ」「お前のおかげだ四郎」「前を向け四郎」「お前の目指す先に、俺が光を与えてやる」虎の言葉があまりにも眩し過ぎて、四郎はなにも言えなくなってしまった。ー これには私も痺れ過ぎてしまった。野生児と天草四郎が出会う設定とか、ときに感傷的に過ぎる筆致に、序盤はちょっとイヤな予感がした。しかし、解説の縄田一男氏が、勢いがあると評するとおり、力技で読まされ痺れさせられる。改行や心象描写が多く、もちろんアクション描写も多い。正統派時代小説ではないかもしれないが、これはこれで良い、素晴らしかった。2020/09/19
かずぺん
5
島原の乱の根本を知った気がする。でも苦しい現実である。2020/09/07
みゆき
5
読み終わる頃には、こちらの息があがってしまうような、疾走感のある一冊でした。ーーこれが島原の乱だ。ーー2020/07/08
コニタン
4
キリスト教について理解するつもりは無かった。元々宗教に興味はない。最初の数ページを本屋で立ち読みして止められなくなって購入しました。矢島隆初読み、傑作だよ!2020/06/07
播州(markⅡ)
3
読む際の心構えで失敗してしまった…天草史郎が何を考え、数万の切支丹や農民が何故反乱を起こしたのか。というところに興味を覚えての購入だったのだが、まさかの柳生VS獣。戦争よりも戦闘に重きが置かれていたのが意外。疾走感溢れる戦闘シーンと明快すぎて野趣あふれる文体が虎にぴったりで、読書のスピードが上がる上がる。2020/10/15